東京・駒込にあるバラの名所、旧古河庭園。
庭園内にそびえ立つ洋館は、1917年、古河家三代目当主古河虎之助が建てた古河家の迎賓館である
(東京都教育委員会所蔵写真)
東京の駒込に、バラに囲まれたレンガ造りの洋館がある。3万780m2の広大な敷地には、日本庭園と洋風花壇が渾然となった見事な庭園が広がり、春と秋には70種を超えるバラが咲き競う。古河財閥三代目当主古河虎之助が1917年(大正6年)に建てたもので、古河家の迎賓館に使われた旧古河庭園である。設計者は、明治から大正にかけて豪邸建築の第一人者といわれた J・コンドル。鹿鳴館やニコライ堂を設計したイギリス人建築学者である。戦後、財閥が解体されて以降、その名残を残す邸宅もほとんど姿を消し、旧古河庭園も東京都が管理する公園となっているが、この洋館こそ、唯一私たちが自由に見ることができる往年の財閥邸である。
五代目当主(現社長)
古河潤之助
現在、古河家は、五代目当主古河潤之助が継いでいる。そして、古河潤之助が社長を務める企業が、世界第2位の光ファイバメーカー、古河電気工業である。古河電工は、1884年に古河家初代当主古河市兵衛が創始した精銅業と、同じ年に横浜で開業した山田電線製造所にそれぞれ源を発している。その足跡をたどってみよう。