2 債券のルーツを知ろう~中世の国王の借金問題がきっかけ!?
人間同士のお金の貸し借りは、紀元前からあったと言われている。では、「債券」を発行してお金を効率的に借り入れるという方法は、いつごろ発明されたのだろう?
いくつかの説があるが、12-13世紀頃、十字軍遠征からマルコ・ポーロの時代に、商業の盛んだったヴェネチアをはじめとしたイタリア北部の都市国家で、政府が債券を発行したのが最初だとみられている。株式が発明されたのが17世紀といわれているから、それよりも数百年も前のことになる。
当時のヨーロッパの国王たちは、国の運営するためのお金が足りないと、商人などから借りることがしばしばあった。ただ、王位が代わって次の国王になると「前の国王の借金は知らない」といって、借りたお金を返さないことがあったらしい。こんなことを何度も続けていたら、たとえ相手が国王だとしても誰もお金を貸してくれなくなってしまう。
そこで国王個人ではなく、政府や議会などの組織がお金の返済を約束するかたちで主体となって債券を発行し、裕福な商人などに売るという方法が考えられた。
これが債券のはじまりなんだ。その後イタリアだけでなく、スペインやフランス、オランダなどでもお金集めの手段として債券が発行されるようになっていった。そして、長い歴史の中で債券のしくみもどんどん整備され、世界中で発行されるようになったんだ。