25 銭を使った「まじない」とは?
今でも家の新築や工事を始める際に、土地の神様に対してお供え物を捧げる「地鎮祭(じちんさい)」を行います。また、大相撲では本場所が始まる前に土俵祭を行い、土俵の下に供物を埋めて、安全な興行を祈願します。こうした風習のルーツは奈良・平安時代にまでさかのぼります。
平安京では、疫病の流行や自然災害を鎮めるために、供物を土に埋める「鎮祭」という儀式が行われていました。平安京の遺跡から見つかった土中の供物の中には何枚かの銅銭が見つかっています。古代から貨幣には不思議な力が宿ると信じられていて、土地の神様への供物として使われたようです。
一方で、「まじない」は人をのろうためにも使われました。『宇治拾遺物語』の中にこんな話があります。藤原道長が寺の門を入ろうとすると、連れていた犬が道長を引き止めました。不思議に思った道長が陰陽師の安倍晴明を呼んで占わせると、土の中からのろいに使われた土器が出てきました。道長に恨みを持つ者の仕業とみられ、犬と清明が道長の危機を救ったという話です。