25 銭を使った「まじない」とは?
現在の5円硬貨や50円硬貨には丸い孔が開けられていますが、古代の銅銭には四角い孔が開けられています。現在の硬貨の孔は、材料の金属の量を減らしたり、他の硬貨との区別をわかりやすくする目的で開けられていますが、古代の銅貨の場合はちがった理由がありました。
富本銭や和同開珎のように丸い形に四角い孔の開いた貨幣を「円形方孔銭」といい、唐(中国)の開元通宝をまねてつくられたといわれています。孔の形を四角にした理由は、古代中国の「天円地方」説=天(陽)は円く、地(陰)が四角(方)であるという中国の陰陽道の宇宙観に由来しているといわれています。中国に由来する円形方孔銭は、日本だけでなく朝鮮半島やベトナムにも波及しました。
寛永通宝などの貨幣が大量に流通した江戸時代には、この四角い孔に銭差(ぜにさし)という紐を通して何枚もの銅貨を持ち運びました。これを繋ぎ銭(つなぎぜに)といいます。現代でも関西地方にはお宮参りの際に、「赤ちゃんが一生お金に困りませんように」という願いをこめて、紐に通した「紐銭(ひもせん)」を贈る風習が残っています。