お金の歴史雑学コラム

17 鳳凰、龍、ネズミ、イノシシ……お札に登場する動物たち

数十匹もの動物が描かれていた明治初期の「ゲルマン紙幣」

人物の肖像画と並んで、紙幣によく用いられているのが動物の絵です。

動物の絵を用いるのは、お札に親しみを持ってもらう意味合いや、額面金額を引き立てる目的があると言われています。また海外では宗教上の理由や、人種的な対立を避けるという理由から、紙幣に人物の肖像は使わずに動物の絵が描かれている国もあります。

明治通宝札

明治通宝札(1872年)
(写真出所:日本銀行金融研究所)

日本のお札にも、古くから動物が描かれてきました。
明治初期の1872(明治5)年には当時の日本政府が「政府紙幣」と呼ばれる紙幣を発行しています。たくさんの動物たちが描かれていたことで有名なこの紙幣は、当時日本に十分な印刷技術がなく、ドイツに印刷を依頼したことから、「ゲルマン紙幣」と呼ばれていました。
鳳凰や龍といった想像上の動物のほか、孔雀(くじゃく)が2羽、千鳥(ちどり)が24羽、トンボが6匹、さらに二枚貝も14枚描かれていました。