お金の歴史雑学コラム

日本で最初の「お札」とは?

商人が“お釣り”のかわりに発行したのが最初の「お札」!?

今でこそ、私たちは千円札や一万円札といった「お札(紙幣)」を当たり前のように使っていますが、“紙切れでできたお金”であるお札の価値がちゃんと人々に認められ、普及しはじめるのは江戸時代になってから。それまでは金貨や銀貨など金属でできたお金(=硬貨)が中心でした。金属のお金は、同じ形のものを何枚も作りやすく、持ち運びも便利ですし、金や銀などは“貴金属”としての価値もあるので、人々から信頼されやすかったのです。

山田羽書

山田羽書
(出所:日本銀行金融研究所)

しかし世の中が発達し、人口も増えて、お金を使ったモノの売り買いが増えると、硬貨を作る金属が足りなくなってしまいます。そこで注目されるようになったのが、金属に比べて安い原料費で大量に作れる紙の「お札」だったわけです。

日本のお札のルーツは、1600年頃に伊勢山田地方(現在の三重県)にいた商人が、金貨や銀貨など額面の大きい貨幣のお釣りのかわりに渡していた「山田羽書(やまだはがき)」という証書だといわれます。山田羽書は、松坂など他の地域でも流通し、商人札として発展しました。ただ、これは商売のために私的に作られた「私札」と呼ばれるもので、社会全体で通用するお金とはいえませんでした。