23 平安貴族の収入格差
平安時代の下級官僚の願いは、一つでも上の位に出世することでした。奈良時代の資料によると、一般の民衆が銭百万文(今のお金で約6000万円)を出して、地方枠の従五位下の官位を買ったこともありました。また中級官僚としての「位」があっても、望みの「官職」につくのは難しく、なんとかお金で買おうとしても、中央の良い官職は最低1億円以上の大金が必要だったという記録もあります。
一方、藤原道長のような高級貴族は、国からの給料のほかに、荘園といわれる土地を手に入れることでさらに収入を増やしていきました。道長の年収がいくらであったかは、学者の間でも異論があるため具体的に示せませんが、給料だけで約5億円はあったのではないかとみられています。
2千円紙幣裏面の図柄「源氏物語絵巻」の「鈴虫」の絵と詞書
(平安時代の上級貴族をモデルにして描かれた絵)
画像提供:ピクスタ