22 平安時代のガタガタなお金事情とは?
平安時代の貴族社会では、儀式の際などに、主人が目下の人の日ごろの働きに対して、「被物(かづけもの)」とよばれる絹織物を支給する習わしがありました。現代のボーナスのようなものです。時には、主人が身につけるためにあつらえた高級な衣服を特別に支給することもありました。
被物という呼び名は、品物を受け取る人の肩や頭に絹織物や衣服をかけて(被けて)与えたことに由来しています。
目下の人への特別なほうびとして貨幣や調度品などではなく、衣服が使われたことには理由があります。古代の日本では、着物にはそれを着た人の人格的な価値が宿ると考えられていました。したがって被物は、目上の人の「身の代(みのしろ)=人格が宿った品」を与えることで、主従関係を強固にするための品物でもあったのです。