お金の歴史雑学コラム

19 布製のお札、陶器の硬貨…世界のお金の素材いろいろ

オーストラリアやニュージーランドではすべてのお札がプラスチック製

最近では、プラスチック製のお札を使っている国も少なくありません。「ポリマー紙幣」と呼ばれるもので、1988年にオーストラリアで世界で初めて発行され、その後ニュージーランド、ベトナム、ルーマニア、チリなど世界で20か国以上の国々で発行されています。ルーマニアなどのように記念紙幣として発行している国もありますが、オーストラリアやニュージーランドなどでは、すべてのお札がプラスチック製です。

プラスチック製のお札の特徴としては、まず丈夫で長持ちであること。折ったり水に濡らしたりしても簡単には破れません。しかも汚れにくく、紙のお札に比べると耐用年数が長いので、それだけ生産コストも低く抑えることができます。
また手に入りにくい素材を使うことで、偽造防止に役立つという面もあります。ちなみにオーストラリアやチリの紙幣は一部分だけ透明になっているのですが、これも偽造を防ぐ狙いがあります。プラスチック製のお札だからこそできる偽造防止法といえるでしょう。

プラスチック製のお札

プラスチック製のお札の製造は、オーストラリアの技術が高いことが知られています。オーストラリア中央銀行の関連機関(NPA)が印刷するポリマー紙幣は、自国内はもちろん、パプアニューギニア、インドネシア、クウェート、西サモア、シンガポール、ブルネイ、スリランカ、タイ、バングラデッシュなど多数の国々で使われているそうです。
プラスチック製のお札は、寿命が長くリサイクルもしやすいので、環境に優しいという面もあります。その意味でも、プラスチック製のお札を導入する国は今後ますます増えていくかもしれません。将来、日本のお札もプラスチック製になるのでしょうか?

※参考文献
『お金の教科書7 お金のマメ知識を楽しもう!』(学研)
『世界のお金事典』(汐文社)
在日オーストラリア大使館HP資料