お金の歴史雑学コラム

16 お札に肖像画が使われているのはなぜ?

肖像画のせいで捕らわれてしまったフランス国王・ルイ16世

世界中のお札に肖像画が描かれているのは、「ニセ札防止」という大きな狙いがあります。

私たち人間は、「顔」を認識する能力に優れているのだそうです。人の顔つきの微妙な違いや、わずかな表情の変化もしっかりと認識することができるので、もし誰かがニセ札を作ったとしても、そのお札の肖像画が少しでもぼやけていたり、少しでも違う絵柄になっているとすぐに気がつくのだそうです。
肖像画には、このような人間の能力を利用して、お札の偽造を防ぐという意味合いがあるわけです。

ルイ16世

ルイ16世
(資料出所:Wikipedia)

お札の肖像画については、18世紀後半にフランスで起こった「フランス革命」での有名なエピソードがあります。
当時のフランス国王だったルイ16世は、家族と共に王妃マリ=アントワネットの母国へ亡命しようとしました。しかし、国境近くのヴァレンヌという土地であっさり発見され、パリへ連れ戻されてしまったのです(ヴァレンヌ事件)。
実は当時のフランスのお札には、ルイ16世の肖像画が使われており、国王の顔は国の隅々にまで知れ渡っていたのです。
新聞もテレビもない時代、変装していたにもかかわらず逃亡中のルイ16世が発見されたのは、このお札があったからだといわれています。

※参考文献
『これだけは知っておきたい(14) お金の大常識』(ポプラ社)
『お金100のひみつ』(学研)
『詳説 世界史研究』(山川出版社)
日本銀行HP資料
国立印刷局HP資料