お金の歴史雑学コラム

13 イスラム諸国の独特な金融のしくみ

イスラム諸国の銀行はリース会社に似ている

イスラム教の国々では現在も、その教義によりお金を貸して利息を受け取ることが禁じられています。「自分で働かないで、お金を動かすだけで利益を得ることは良くない」という考え方なのかもしれません。
そのためイスラム教の国では、企業が銀行からお金を借りて工場を建てたり、人々が住宅ローンを利用して家を買うということができないそうです。そこでイスラム諸国では、イスラム金融とも呼ばれる独特の金融のしくみが考案されました。

イスラム

例えば工場を建てるという場合、まずイスラムの銀行が建築資金を肩代わりして工場を建てます。そして、分割払いのかたちでそれを企業に売り払うのです。銀行にとっては建築資金と売却代金の差額分が利益になります。日本の金融業者でいうと、リース業やクレジットカード業などのしくみに似ています。お金を貸すのではなく、モノの代金を肩代わりするやり方です。ただイスラム金融では、取引がイスラム教の教義に反していないかイスラム法学者に認めてもらう必要もあり、手続きはとても複雑です。
イスラム諸国は産油国が多く、急速な経済発展を遂げている国もあります。そのため、イスラム金融の取引規模も近年拡大しつつあるそうです。

※参考文献
『マネー なぜ人はおカネに魅入られるのか』(ダイヤモンド社)
『目で見る経済』(さ・え・ら書房)
『図解雑学 日本の金融』(ナツメ社)