お金の歴史雑学コラム

12 お金の単位のルーツを知ろう!~ドル、ポンド、元 …

「重さ」や「はかり」がお金の名前になった国も多い

【ポンド】

世界のお金の歴史をひもとくと、硬貨が初めて使われるようになった頃は、取引の度に硬貨の重さをはかって、その重さを価値と考えて代金を支払っていたようです(→「世界で最初の硬貨とは?」を参照)。そのため、その国で「重さ」を表す言葉が、そのまま通貨の単位になったというケースが世界には多数見られます。

イギリスの通貨である「ポンド」もその例です。古代ローマ帝国では、お金の重さのことを「ポンド」、はかりのことを「リブラ」と呼び、この二つを合わせた「リブラ・ポンド」という言葉が、通貨の名前になったのだそうです。ちなみにこの「リブラ」は、その後イタリアの通貨「リラ」の語源となりました。
このほか、「重さ」や「はかり」の単位に由来する通貨には、タイの「バーツ」、メキシコの「ペソ」、以前ドイツで使われていた「マルク」などがあります。江戸時代の日本で使われていた「両(りょう)」「分(ぶ)」「朱(しゅ)」なども同じです。

※注)イタリア、ドイツ、フランスなどヨーロッパ諸国の多くでは現在、共通の通貨である「ユーロ」が導入されています。

【元】

現在の中国のお金の単位は「元」といいます。この字を、日本では「げん」と読んでいますが、英語では「yuan」と書き、中国語での発音も日本の「円(yen)」と大変よく似ています。また中国では、正式には「元」ではなく「圓」という字を使っています。
「圓」はもともと「丸い」という意味で、明(みん)の時代には、メキシコの銀貨のことを「銀圓」と呼んでいたのだそうです。これを背景に、1910年に中国で通貨制度を導入した際に「圓」が採用されることになったのです。

このほか、スウェーデンやデンマークの通貨のように「王冠」を意味する言葉をルーツとするもの(クローナ、クローネ)、ブラジルのように「国王」を意味する言葉をルーツとするもの(レアル)などもあります。

様々な紙幣

※参考文献
『紙幣の博物誌』(ちくま新書)
『お金と切手のひみつ』(学研)
『お札の館探検隊 なぜなぜ質問箱』(国立印刷局)