第11回日経STOCKリーグの実施記録や入賞レポートを掲載します。
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第11回(2010年度)実施記録
参加数
学年 | 中学 | 高校 | 大学 | 計 |
---|---|---|---|---|
学校数 | 16 | 87 | 120 | 223 |
チーム数 | 85 | 618 | 862 | 1,565 |
人数 | 365 | 2,495 | 3,471 | 6,331 |
各賞
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最優秀賞
慶應義塾ニューヨーク学院(高等部)11年
Blessing in disguise/災い転じて福となす ~ニューヨークの女子高校生が選ぶ愛すべき日本の多国籍企業~(2,274KB)
【メンバー】
櫻井芳野、平岡恵梨、丁史江、山根希望
【ポートフォリオ】
味の素、キユーピー、資生堂、マキタ、アドバンテスト、京セラ、日産自動車、三井物産、サンリオ、野村ホールディングス、コナミ、ファーストリテイリング
【審査委員講評】
グローバル化の中で、海外に進出している多国籍企業から回答を得た12社に関して、(i)基本理念、(ii)世界展開、(iii)社会貢献、(iv)話題性などの項目について、アンケート結果をとても上手くまとめている。さらに、2社については、会社訪問を行い、自分達の現場を見た評価が加味されている。日本経済は、中国やインドなどアジア諸国の急成長の中で、20年近い、低迷が続いている。しかし、海外で活躍する企業に焦点をあて、収益性・安全性・成長性の観点から分析し、各社の海外展開における戦略がまとめられている。日本の製品に対する信頼性・安心感は、とても高いものがある。こうした日本の評価を継続させ、次世代が信頼性を裏切らずに、さらに海外でも活躍できるように努力することの必要性が強調されており、力作であると判断され、満場一致で、最優秀賞に選ばれた。
部門賞・中学部門
筑波大学附属駒場中学校3年
水ビジネスが日本企業を救う! ~技術を活かす新産業への投資で企業を「育てる」~(695KB)
【メンバー】
川手魁、大畑毅志、荻島諒也、吉田崇裕
【ポートフォリオ】
鹿島建設、日揮、E・Jホールディングス、日本上下水道設計、双日、東レ、三菱ケミカルホールディングス、荏原製作所、日立製作所、東芝、日東電工、三井物産、三菱商事、野村ホールディングス
【審査委員講評】
中学生のレポートは、熱い想いを生な状態でぶつけてくることが、結果的に評価になる傾向がある中、本レポートは極めて冷静で理論的な取り組みであった。テーマ設定においては日本の先進技術を注目したが、それも、広い分野から最も成長性や競争力があると判断した分野にターゲットを定めた。そして、定量分析により投資対象を更に選別し、定性分析によって最終決断を下すプロセスは、「プロ」並みだ。これに、熱意や意気込みを吹き込むことができたら、ほぼ満点となる。
部門賞・高校部門
灘高等学校2年
第六次産業化による 農林水産業革命 ~守りから攻めへ~(1,023KB)
【メンバー】
田尻智哉、青島勇太、中原一貴、平井宏和、村瀬唯斗
【ポートフォリオ】
日本水産、マルハニチロホールディングス、アクシーズ、住友林業、日本ハム、双日、カゴメ、セブン&アイ・ホールディングス、三菱ケミカルホールディングス、タカラバイオ、ワタミ、サイゼリヤ、豊田通商、住友商事、モスフードサービス
【審査委員講評】
TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)を強く意識し、農業が抱える問題点を指摘し、攻めの農業を提起している。具体的には、(1)第6次産業化、(2)先端技術の導入、(3)企業の参入、(4)規制の緩和を挙げている。その上で、投資企業を農業の特徴を踏まえて、長期的経営(財務評価)、研究開発、第一次産業におけるビジョンと展開(定性評価)の3項目で評価し、ポートフォリオを作っている。良く工夫されたレポートだ。
部門賞・大学部門
一橋大学3年
為替適応力3.0 ―Global Learning企業に投資せよ―(2,488KB)
【メンバー】
吉川和宏、渋谷洋平、絹川亮、鶴崎 萌子
【ポートフォリオ】
東レ、コニカミノルタ、小松製作所、マキタ、日本電産、フォスター電機、堀場製作所、シスメックス、京セラ、ヨロズ、シマノ、オリンパス、タムロン、アシックス
【審査委員講評】
なかなか良く工夫されたレポートである。学生は企業の為替適応力を(1)為替予約、(2)生産拠点の海外移転、(3)最適生産体制の構築と成長分野の発掘と定義し、(3)を為替適応力3.0企業として、ポートフォリオ作りを進めた。そして、日本のモノづくりの力を現地に移転する「モノづくり立地型」だけでなく、海外発のニーズを国内に集め、基幹部品の製造で利益を上げ、かつ新事業に結び付ける「最先端顧客立地型」にも目を向けて、企業選びを行っている。後者のケースが少なくないとの知見は新鮮である。
敢闘賞
筑波大学附属駒場中学校3年
新経済のリーダーを探せ ~脱政府経済を考える~(927KB)
【審査委員講評】
他のレポートが社会的関心事項をテーマとしているのに対して、本レポートは社会的関心事項に取り組む主体の一つである政府をテーマとし、政府自体の必要性を検討対象とした点がユニークである。加えて、経済の現状分析も丁寧に行った上で、現在の日本のあり方に積極的に切り込もうとした点は評価できる。日本の経済社会全体が旧来の仕組みの中で機能不全に陥り、抜本的な戦略見直しの必要性があるとの指摘がなされる現在、他者の模範となる視座と考える。
東山中学高等学校1年
インドの可能性 ~インドは何かを持っているといわれてきた・・・~(763KB)
【審査委員講評】
インドについては近年BRICsの一角として国際的にも注目を浴び、日本からの投資も活発化していると報道される。しかし、同じBRICsかつアジアの仲間である中国と日本との関係に比べると、官民どちらのレベルでも日印二国間の情報共有が低く、潜在的な二国間協力の芽が眠っている可能性が高い。本レポートは「知っていそうで知らない」インドについて詳細に調査し、インドの重要性を具体的データに基づき的確にアピールしえた。
神戸大学3年
Visionary Company ~日本発・世界企業~(1,469KB)
【審査委員講評】
簡潔かつ読みやすくまとめられている好感度の高いレポートである。ただし、ビジョナリーカンパニーを世界一の企業と位置づけた理由が、物足りない。また、持続性の観点を売上の伸びをベースにしたことについて、再考を求めたい。持続性のあるトップシェアの企業の特徴とは一体何かをまず分析した上で、選別指標を検討すべきであったのではないか。それぞれの銘柄選択基準の背景をさらに詳しく記載していれば、さらに完成度の高いレポートとなったに違いない。
審査委員特別賞
武相中学校2・3年
【審査委員講評】
液晶のサプライチェーンを地道に調べ、効果的なポートフォリオを作っている。生徒は最初に3Dテレビに興味を持ち、ソニー、パナソニック、シャープといったテレビメーカーに関心を寄せると同時に、薄型テレビの実現に貢献した液晶技術を調べていく。その過程で、カラーフィルター、偏光フィルム、ガラス基板といった部材の重要性に気がつく。アナリスト的な分析を行い、印象に残るレポートにまとめている。
滋賀大学1・2年
日本の新未来創造 ~優れた事業分野と組織力を併せ持つ最強企業に投資せよ!~(3,199KB)
【審査委員講評】
銘柄選択において、独自指標を作ったことは、大変に興味深く、導き出された企業の特徴は、実際に定性的に分析されている成長企業の強みと共通するところがあり、説得力がある指標となっている。鍵となった組織力という観点を、社内だけでなく、企業間の連携という個社を超えた組織力という着眼点を持ってさらに分析をしたときに、どのような結果が出るか、その研究成果も期待したい。当レポートの作成にあたり、メンバーが組織とは何かを体験として学んだことも、今後の人生において、極めて貴重であり、大切にしていただきたい。
三原淳雄特別賞
※2000年の日経STOCKリーグ発足当初より審査委員を務められ、金融経済教育に尽力された三原淳雄様が2011年2月8日に逝去されました。生前のご功績に敬意を表し、このたび「三原淳雄特別賞」を新設いたしました。
琉球大学4年
【審査委員講評】
地域を意識したレポートは、その地域の企業や産業を応援するというパターンが多い中、本レポートの視線は新鮮であった。地域が大切にする価値観を基に、日本全国の企業を選別し、世界へ挑戦するポートフォリオを組んだのである。彼らが選んだ15社は、周囲の大人たちにも馴染みないであろうが、世界で競争力がある企業ばかりだ。コモンズ30ファンドと5銘柄も重なっていたことが純粋にうれしかった。自分たちの「枠」から一歩踏み出した彼らにエールを送りたい。
入選
NOMURA Award(特別協賛社賞)
中学:世田谷学園中学校 高等学校 小川悟一教諭
高校:
東山中学高等学校 服部義忠教諭
同志社香里高等学校 藤井宏樹教諭
千葉県立銚子商業高等学校 真弓旭教諭
大学:
東京理科大学 下川哲矢准教授
横浜市立大学 中條祐介教授
天津外国語大学・淮陰師範学院 小野寺健教授