6 明治時代の「1円」の価値ってどれぐらい?
明治時代の「1円」って、今のお金に換算するとどれぐらい価値があったのだろう?
…昔の時代を描いたテレビドラマを見て、そんなことを考えたこともあるかもしれません。
明治時代の買い物の様子。
背広などの洋服も普及し始めた
明治時代は、欧米の文化がどんどん日本に入ってきた時期であり、パンやコーヒー、カレーライスやビールといった洋食、背広やワイシャツといった洋服が少しずつ普及し、さらに映画のような新しい娯楽が始まったのもこの頃でした。
単純に、明治30年頃の物価と、今の物価を比べると、今の物価は当時の3800倍ぐらいです。つまり明治時代の1円は、今の3800円ぐらいに相当することになります。
とはいえ、昔のお金と今のお金の価値を比べるのはなかなか難しいことです。人々の仕事の種類も生活のしかたも違いますし、生活に必要な品物も異なるからです。物価も賃金水準も年々変化しているので、明治時代でも前半と後半では違いがあります。
そのことを踏まえて、試算してみることにしましょう。
当時は、日本経済が発展しはじめたばかりで、物価に比べて賃金の水準は低く、いまよりも、職業によっての所得格差も大きかったようです。お給料が安ければ、それだけ1円の重みも違います。明治30年頃、小学校の教員やお巡りさんの初任給は月に8~9円ぐらい。一人前の大工さんや工場のベテラン技術者で月20円ぐらいだったようです。
このことから考えると、庶民にとって当時の1円は、現在の2万円ぐらいの重みがあったのかもしれません。