第9回日経STOCKリーグの実施記録や入賞レポートを掲載します。
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第9回(2008年度)実施記録
参加数
学年 | 中学 | 高校 | 大学 | 計 |
---|---|---|---|---|
学校数 | 13 | 132 | 134 | 279 |
チーム数 | 82 | 946 | 865 | 1,893 |
人数 | 337 | 3,669 | 3,443 | 7,449 |
各賞
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最優秀賞・金融担当大臣賞
鹿児島大学教育学部附属中学校2・3年
MADE IN JAPANが世界を救う! ~今こそ日本のよさをアピールする時~(668KB)
【メンバー】
櫻井芳野、酒匂隆幸、酒匂美貴子
【ポートフォリオ】
キャンドゥ、味の素、新日本製鐵、ブラザー、三菱電機、パナソニック、シャープ、ソニー、京セラ、三井造船、三菱重工業、トヨタ自動車、本田技研工業、任天堂、サンリオ、商船三井
【審査委員講評】
このレポートは、全ての応募レポートの中から、視点がよく、内容もしっかりとした分析として、もっとも高い評価が審査員からなされました。
まず、最近忘れられている”日本のよさ”に着目して16社を選び、日本の企業の特性、海外における日本の企業の評価、企業のビジョンなど、いくつかの軸を設けて企業を見ようとする視点は素晴らしく、外国人の持ち株比率、設備投資、研究開発、決算書を読み込み、それぞれの企業の数年間のデータを比較し、同一企業の過去と現在を調べています。さらに、企業間の比較を行い、企業のやる気を、設備投資・研究開発費で測っており、中学生で、ここまで深い分析が出来るのかと思うほどの内容でした。また、それぞれの会社の創業者とビジョンまで歴史的に調べて、会社の将来を考えて投資をしている点は、高く評価できます。書かれている文書も上手い表現が使われており、読みやすい論文で、表彰式の後の発表においても、落ち着いて、中学生とは思えないほどの立派な研究成果の報告がなされました。
日本のよさを見つめ直すため、”MADE IN JAPAN”、「ものづくり」に改めて視点を合わせている点に共感を覚えました。また、企業選択において、海外での人気度、研究開発・設備投資に加え、創業者の経営思想にまで丹念に遡った上で、「私たちが応援したいとして心から思った企業」として整理している点は、大変説得的であり、インタビューやメール等によるフィールドワークにも熱心に取り組んでいる様子も伺われました。更に、フランシスコ・ザビエルや西郷隆盛という地元鹿児島の歴史上の人物の発言が引用されていることも印象的でした。中学生であっても、こうした全体構成がよく練れた熱意にあふれた素晴らしいレポートを書くことができることを証明してくれました。今後、より多くの中学生に日経STOCKリーグにチャレンジして頂きたいと思います。
部門賞・中学部門
本郷中学校3年
The Noise Busters ~投資で創る 静かな社会~(2,936KB)
【メンバー】
櫻井幹生、石田啓、小沢陽、矢吹崇明、石井伸尭
【ポートフォリオ】
日東紡、東レ、旭化成、積水樹脂、ブリヂストン、日本軽金属、住友軽金属工業、昭和電線ホールディングス、鉱研工業、小森コーポレーション、東芝、アンリツ、ソニー、リオン、村田製作所、日東電工、パナソニック電工、河西工業、キヤノン、パーカーコーポレーション
【審査委員講評】
テーマ設定とアンケート作成において、独自の視点が光っている。しかも、中学生でありがちな、定性的な視点だけでの銘柄選択に留まることなく、株価指標等の定量的データによる分析を実施している点が、評価できる。こうした独自性が生まれた背景は、議題をきちんと決めて、20回にわたって開催された会議の成果ではないだろうか。
また、会社訪問の実施も行うなど、アンケート実施も含め、頭だけではなく、足や耳を使って、銘柄選びとテーマの深堀を行っていることは、高く評価できる。このレポート作成を通じて、学生たちの視野は、大きく広がったに違いない。それは、感想に書かれていた一文、「今後会社を偏った見方で判断しないようにしていきたいと思う」に集約されている。
部門賞・高校部門
大分県立情報科学高等学校3年
THE BEST PARTNER ~「ゆうえんち」から学んだ大切なこと~(1,151KB)
【メンバー】
伊東和樹、西郷沙也加、矢野鈴鹿
【ポートフォリオ】
三菱UFJフィナンシャル・グループ、三井住友フィナンシャルグループ、野村ホールディングス、新日本製鐵、SUMCO、国際石油開発帝石、三井物産、武田薬品工業、アステラス製薬、日本たばこ産業、キリンホールディングス、トレンドマイクロ、ソフトバンク、キヤノン、パナソニック、日本電産、本田技研工業、日本郵船、日本通運、任天堂
【審査委員講評】
毎年ユニークな着想でレポートを作成するチームだが、今回も地元の企業が買収されたことをヒントに発想をのばし、グローバルな視点も加えたすばらしいレポートとなっている。投資はしばしば結婚相手を選ぶようなものとたとえられるが、それを「ベスト パートナー」と表現している点も投資の本質をいいあてていると言えるだろう。銘柄選択にいたる過程も論理的だし、文章もこなれていてわかり易い。大賞候補としてふさわしい説得力もある。大人にも読ませたいレポートであり、担当の先生の熱意にも敬意を表したい。
部門賞・大学部門
一橋大学3年
【メンバー】
岡田悠、西尾和高、藤山敬史
【ポートフォリオ】
信越化学工業、明光ネットワークジャパン、オービック、ユー・エス・エス、ミルボン、高速、黒田電気、ユニマットライフ、ワークマン、ファミリーマート、ヤオコー、トランコム、サンドラッグ、マンダム、アクセル、ニトリ
【審査委員講評】
100年に一度の危機の中で、この不況を越えて企業業績を伸ばす、ないし安定している企業に注目したのは、大変時機にかなっている。特に、競争優位に基づく長期的な成長力・収益力に着目したところに、この論文の特色がある。その際、パイオニア的否定というコンセプトを使い、新たなビジネスモデルを構築する企業に着目しているが、大変面白いと感じた。委員の中には、経営戦略のレポートを読んでいるようだとの感想もあったが、まさにそこにこの論文の価値がある。また、事例研究にニトリと信越化学工業を選んでいるが、納得のいく選択だと感じた。
敢闘賞
岡山県立岡山盲学校2・3年
「未来を創る太陽電池」太陽電池がエネルギー革命を起こす(44KB)
【審査委員講評】
環境問題が世界的なテーマとなっているいま、身近な太陽に目をつけ、その太陽の持つエネルギーがいかに大きいか、たとえば地球に届く太陽エネルギー1時間分の量で、世界全体のエネルギーのすべてをまかなえること、地球全体の1%の面積に太陽電池を設置すれば世界中の電力がまかなえるなどと具体的に教えてくれている。この太陽光の利用が本格化しようとしているが、利用方法の優劣についても具体的に整理されているし、パネルが現状では優れていることから企業を探している。短いレポートだが核心はきちんと押さえオーソドックスな投資となっている点は評価したい。
立教池袋高等学校2年
PINCH・CHANCE・CHANGE!? ~百年に一度の大不況をバリュー投資で乗り越える~(1,168KB)
【審査委員講評】
「百年に一度の大不況をバリュー投資で乗り越える」のサブタイトルにあるように、米国のバリュー投資家ウオーレン・バフェット氏に学び、株価大幅下落局面で安全性の高い割安株に投資する考えは、時機にかなっている。日経の優良企業ランキングを利用した銘柄選択手法も妥当なものだろう。ただ、安全余裕度に注目するだけでなく、将来性も考慮してほしかったとの意見はあった。景気局面別に投資スタイルを考えることは重要で、好況局面での銘柄選択も将来チャレンジしたら良いのではないか。
茨城県立水戸商業高等学校3年
【審査委員講評】
他にないユニークかつ専門的なテーマ設定を行い、それを学術的な観点からも調査している。また、化学の授業で得た知識を生かすなど、株式投資を経済の世界だけにとどめることなく、総合的な分野の学びの機会へと広げていることも、高く評価できる。分析も、きわめて論理的であり、ポートフォリオ作成後も、繰り返し考察を行い、反省点を明示しており、ポートフォリオの作成で終わってしまっているレポートが多い中、秀逸であった。
銘柄選択が、薬品に偏りすぎてしまったことが、残念な点である。
東京経済大学2・3・4年
日本企業が起こす原子力「新」時代 ~世界に誇る日本の原子力技術~(2,226KB)
【審査委員講評】
日本経済が低迷するなか、日本経済をリードし、世界に貢献できる日本の産業を見いだし、テーマにしたことは、高く評価できる。特に原子力は、公での議論の機会が少ないテーマであるが、それを経済面から分析したことは、きわめて意義深く、社会的インパクトもある。
テーマについての詳細な調査が、銘柄分類および分析のユニークさと信頼性につながっており、説得力がある。ポートフォリオの組み方も多角的であり、業種が絞られるというリスクはあるものの、高い水準のレポートであった。
世界的な視点、日本経済回復の道筋の模索、モノづくりに対する視点など、現在、社会で議論すべきテーマを網羅した読み応えのある作品だ。
慶應義塾大学4年
【審査委員講評】
ゲーム、レジャー、エンターテインメントが、意外に不況抵抗力が強いといった分析やゲーム、アニメ、マンガ、J-POPなどの日本のコンテンツ産業の強さに注目した異色のレポート。もの作りだけでない日本の文化性に注目した点、回帰分析やクラスター分析などを利用した点に特色がある。ただ、委員の中で、ポートフォリオにやや偏りがあるという指摘はあった。また、ビジネスモデルの検討などがあったらもっと良かったとの感想も持つ。
審査委員特別賞
筑波大学附属高等学校2年
漆黒の夜空が暗ければ暗いほど、星は明るく輝き、未来への道を照らす(124KB)
【審査委員講評】
驚いた。世界中が金融恐慌で不安に怯えている時だけに、その闇のなかから光る星を探すという発想はすばらしい。またその発想の基となる先人の言葉も有効に活かされているし、歴史に学ぶことの大切さも伝わってくる。「好運は大胆に味方する」という引用句など、このご時世に最も求められている言葉ではないだろうか。惜しむらくはもっとポートフォリオを成長にウェイトを置いたものにして欲しかった。そうすれば星のように小さくても強烈に光を将来放つ可能性のある企業が見つかったのではないだろうか。
同志社大学3年
【審査委員講評】
「ウォールストリートよりメインストリートで探せ」とは著名なウォーレン・バフェット氏やピーター・リンチ氏がよく言っていることだが、身近で馴染みがあり、自分がよく理解出来る企業に投資をするという意味。対してウォールストリートは雑音が多くてむしろ邪魔ですらあるとも言う。自分たちの住む町から発想を起こし、そして発展させてポートフォリオを作っていくのは最も大切な投資の基本だろう。欲をいえば京都的発想で頑張っている他の企業まで含めることが出来たら、きっと素晴らしいポートフォリオになったと思われる。
同志社大学3年
サイコロ分析 ~行動ファイナンスによる株価分析~(225KB)
【審査委員講評】
行動ファイナンス理論を応用したユニークな論文。大きな株価下落局面では、心理的な要因で必要以上に下げている銘柄があるはずという仮説に基づき、下落率の大きな銘柄群を選び、日経優良企業ランキングなど、ファンダメンタルズ指標を組み合わせ、スクリーニングを重ねて投資銘柄を選んでいる。この過程に特色がある。結末に、企業の特徴まで分析できなかった点を反省し、研究を続けたいとしており、研究の続きを読んでみたいとの意見があった。
入選
パフォーマンス賞
関西学院大学(2チーム)、兵庫県立加古川東高等学校、岡山県立岡山盲学校、国際基督教大学