金融経済教育 お金を学ぶ 社会のしくみとお金の役割
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3※確定拠出年金:毎月の掛金を固定し、それを運用した成果を将来受け取るタイプの年金で、将来の受取額は未定です。これに対し、従来型の「確定給付年金」は、将来の給付額が確定していて、そこから計算した掛金を毎月支払うタイプの年金です※OECD/INFE:経済協力開発機構/金融教育に関する国際ネットワークOrganisationforEconomicCo-operationandDevelopment/InternationalNetworkonFinancialEducation 一方、少子高齢化が進み、特に若年層にとって老後の生活への不安は高まっています。2001年には自らの意思で運用方針を決める私的年金制度「確定拠出年金※」が導入され、今後も「企業型確定拠出年金」を導入する企業が増加することが予想されています。さらに、「個人型確定拠出年金(iDeCo)」には、条件を満たせばすべての人が加入できるようになりました。 年金だけでなく、お金にかかわるさまざまな場面で、一人ひとりが自分で考えて判断しなければならないこと(自助努力に負うところ)が多くなります。そのため、お金をふやす(運用する)方法を考え、自ら判断して運用を行うために、金融や資産運用についての知識や理解を深めることが大切です。 また、個人の安定した生活や収入について考えると、その前提として、世の中の景気がよいこと、安定していることが重要なポイントであることがわかります。景気が安定していれば、企業の活動が活性化し、便利な製品やサービスが人々の暮らしにもたらされます。雇用が安定することで収入も安定します。すなわち経済全体に活気があれば、その結果として世の中のお金の循環がスムーズになります。●2011年…文部科学省「大学等及び社会教育における消費者教育の指針」「社会で生活していく限り消費と無縁ではいられず、生まれてから死ぬまで消費者であり続けることになる。そこで、生涯学習の一環として、消費者教育を学び続けることができる環境づくりが必要である」とした。●2012年…ロスカボス・サミットにて、OECD/INFE※「金融教育のための国家戦略に関するハイレベル原則」を承認。「消費者教育推進法」施行。●2014年…金融経済教育推進会議「金融リテラシー・マップ」を公表。「生活スキルとして最低限身に付けるべき金融リテラシー」の内容を具体化して、年齢層別に、体系的かつ具体的に記したもの。●2019年…金融経済教育推進会議が金融リテラシー啓発用共通教材「コアコンテンツ」を策定・公表。子どもからおとなまで、体系的に何を学ぶべきかを示す。●2020年…学習指導要領の改訂により、小学校で金融教育が始まる。道徳、生活、社会、家庭科などの教科にまたがり金融教育を実施。●2021年…学習指導要領の改訂により、中学校で金融教育の授業が始まる。家庭科で生活設計や家計管理、公民で金融・経済の授業を実施。●2022年…学習指導要領の改訂により、高等学校で金融教育の授業が始まる。家庭科で資産形成、公共で金融経済の授業を実施。成年年齢が引き下げられ、18歳になると親の同意を得ずにさまざまな契約ができるようになった。社会のしくみとお金の役割一人ひとりの「自助努力」と「自己責任」が問われる社会に 生き方や働き方などのライフスタイルが多様化し、かつてのように安定した職を得て定年まで働き、老後は年金で暮らすという終身雇用制度を前提とした人生設計の実現が難しくなっています。誰にでも当てはまるようなモデルプランがなくなり、一人ひとりが自分の将来を描きながら、家族構成や世代に応じた収入や支出について考えていくことが必要になっています。金融経済教育を取り巻く世の中の動き(2011年以降)

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