金融経済教育 お金を学ぶ 社会のしくみとお金の役割
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25※ODA=OfficialDevelopmentAssistance途上国の経済・社会の発展や福祉の向上に役立てるために行う資金・技術提供く場を提供するだけでなく、周辺の自治体や商店街などと共同で、地域の人々が参加できる催しを開催したり、芸術やスポーツなどさまざまな文化活動に協賛することもあります。企業は事業を通じてだけでなく、従業員とともにその地域の「企業市民」となり、地域社会の活性化や発展に参加しています。 また、工場や施設から出るゴミをリサイクルして再利用したり、有害物質を規制したり、排水を浄化して川に戻したり、周辺の環境基準を満たすための努力を積極的に行っています。地域の環境問題に取り組むことで、地球環境の改善に貢献していることになります。 企業は多様で多彩なステークホルダーとの関係を良好に保ち、相互に信頼関係を結んで取引を継続し、安心で安全な製品やサービスを安定的に送り出し、成長を続けていくこと(持続的に成長すること)を目指しています。社会のしくみとお金の役割児童用テキスト対照会社を応援した結果、社会はどうなったのかな?(P10)/会社は世の中の発展や成長のエンジンです(P11) 企業の活動が活発化することによって新たに生まれるのは、新製品や企業の利益、雇用だけではありません。業績が良くても悪くても、その企業とかかわりのある人たちにもさまざまな恩恵や影響をもたらします。企業の活動や業績にかかわっている人々を「ステークホルダー」(利害関係者)といいます。 企業の業績や経営状況は、雇用関係にある従業員や、その企業に投資している株主、その製品を買ったりサービスを受けたりしている消費者、原材料の仕入れ先、業務の外注先、販売の相手先である取引先の企業にも大きな影響を与えます。銀行にとっても借金の返済がきちんとされるかどうかは重要です。 一方、直接的には金銭的なやりとりがないステークホルダーも存在します。本社や支社・工場の建物や敷地のある周辺地域では税金を納めますが、それによりその地域の市民としての責任も生まれます。近隣の人たちに働企業と社会のかかわり知ってる?企業のSDGsへの取り組み SDGs(SustainableDevelopmentGoals、持続可能な開発目標)の意識が社会に浸透する中で、個々の企業による取り組みも加速しています。業務内容によって工場での二酸化炭素の排出量を減らす、地球環境に優しい製品開発を行う、下請け企業を含めダイバーシティや人権への配慮を徹底するといった目標と期限を設定し、株主や従業員などのステークホルダーを巻き込みながら積極的に活動を展開する企業が増えてきました。背景には近年、投資家や顧客の間でもこうした財務データに表れない活動への注目度が高まり、企業評価に結び付いていることが挙げられます。また、SDGs活動は企業のブランディングや新しいビジネスの創出、社会課題の解決を通し従業員のモチベーションの向上にもつながります。こうした活動と持続可能な経営を両立させていくためには、収益を確保しながらSDGsの目標を達成していく効率的な体制づくりが求められます。企業とステークホルダーの関係 政府開発援助(ODA※)などを通じて、途上国の政府や自治体が公共事業を行い、資源や産業の開発、事業化支援に取り組む日本企業もあります。企業の利益を追求するだけではなく、現地での技術指導や人材育成などを通じて、国際的に意義のある事業活動を行う企業も増えています。日本政府は外務省を通じて、これらの企業と各国機関との橋渡しを行い、日本企業の海外進出を支援しています。また、金融機関は、世界規模の温暖化対策プロジェクトをはじめ、世界的な活動を資金的に支援するための債券の販売を行うなど、本業を通じた社会貢献活動を行っています。

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