金融経済教育 お金を学ぶ 社会のしくみとお金の役割
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22金融経済教育 お金を学ぶ 「上場する」とは、株式や債券などの有価証券を、取引所(市場)において誰でも自由に売買できるようにするという意味です。株式は証券取引所に上場して売買されます。 株式を上場するには、証券取引所が定める上場基準(審査の基準)に則り、資産や利益の額、株主の数など一定の要件のほか、経営の内容や体制、その企業がこの先も継続的に事業を続け、なおかつ良好な業績を上げられるかなどが審査されます。上場することによって大きな資金を調達することができる上、厳しい審査基準もクリアしていることから企業の社会的な認知度や信用も高まります。 その一方で、上場することによって多くの投資家や世間の目に事業や業績がさらされることになり、その企業にかかわる人たちが正しい判断ができるようにするための新たな責任も生まれます。○継続的に成長する…投資してくれた投資家に利益を還元できるよう成長を続ける○経営の透明性を維持する…投資された資金が健全な事業経営のために使われていることを明確にする○社会的な責任を負う…企業にかかわるあらゆる利害関係者からの要求に対する説明責任と適切な意思決定を行う※株式のほかにも、農作物や鉱工業用の材料などが商品先物取引所で取引されています 株主になると、出したお金(出資金)に応じてさまざまな権利が得られます。主な権利は次の通りです。1.企業経営への参加(議決権)…株主総会に出席して、経営に関する議案の議決権を行使する2.利益の配分(配当)を得る…企業が得た利益の配分を得る3.解散後の資産の分配権…企業の解散などに際し、残った企業の資産を分配して受け取る 株式を買うには、まず証券会社に自分の口座を開設して、そこで買いたい株式の注文を出します。希望の価格で買うことができたら(取引が成立したら)、代金が口座から引き落とされます。しかしこれだけでは「株主としての権利」を行使することはできません。その企業が定める権利確定日※の時点で株式を保有していて、株主名簿に記載されることが必要です。株主名簿に記載されていないと、配当を受けるなど、株主としての権利を行使することはできません。※権利確定日:3月決算の企業の場合は3月31日。中間決算の9月30日も基準日とする場合がある。知ってる?インカムゲインとキャピタルゲイン 預金や株式などを保有することで、得られる利息や配当などの利益をインカムゲインといいます。これに対し、保有している株の株価が上がって、それを売却した場合に得られる利益をキャピタルゲインといいます。たとえば、賃貸用の不動産があるとしたら、毎月入ってくる家賃がインカムゲイン、その不動産が値上がりし、それを売って得た利益がキャピタルゲインです。 株主に対して、配当以外に持ち株数に応じた「株主優待」を行っている企業もあります。企業の施設の利用券や製品、企業の事業にちなんだ商品など多彩な株主優待があります。株主優待を受けるには、株主名簿に記載される必要があるので、権利確定日に株式を持っていなくてはいけません。

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