金融経済教育 お金を学ぶ 社会のしくみとお金の役割
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21・株式の売買はおもに証券取引所を介して行われます。・売買注文が集中することで、流動性の向上や、 適正な価格形成が期待できます。画などを記した書類と面談により、「この企業にお金を貸しても大丈夫か、きちんと返済されるか」を公庫や銀行側が審査します。その内容によっては不動産などの担保や保証人が必要になります。 11ページで、「事業を始めるときの資金」について紹介しました。企業の事業が拡大し、もっとたくさんの資金が必要となった場合にも、この方法を使うことができます。株式を証券取引所に上場して、不特定多数の「投資家」に株式を買ってもらい、一度に大きな資金を調達する方法です。企業の事業や将来性に期待して資金を投資してくれる人たちが「株主」となります。株主は個人だけでなく、多額の資金を運用する企業や、外国人だったりします。 銀行からの融資と異なり、株式を発行して得た資金はいつまでに返済するという期限がありません。企業は事業で得た利益を株主に「配当」として還元します。業績が上がって株価が上がれば、株主の持っている株式はどんどん価値(株価)が上がります。株主はその株式を手放したくなった場合には、株式を企業に買い戻してもらうのではなく、証券市場で株式を売ればいいので、企業がその代金を払う必要はありません。また、企業は上場によって得た資金を事業のために使うことができます。 元本の返済や利子の支払いなどの条件を明確にして発行する有価証券が債券です。 国や地方自治体、企業、外国の政府などが資金を調達するときに発行するもので、債券はそれらの機関や企業が期限付きで借金をするときの借用書ともいえます。借金なので返済期限(満期)が来たら返済され、返済されるまでの間は定期的に利子が支払われます。 銀行の定期預金と似ていますが、債券は返済期限が来る前に換金したい場合は、解約ではなく市場で売却することになります。 日本の政府が発行する債券は「国債」、企業が発行する債券は「社債」です。社会のしくみとお金の役割児童用テキスト対照お金を得る方法と使い方(P6) 近年、新たな資金調達の手段として注目されているのが「クラウドファンディング」です。クラウドファンディングとは、インターネット経由で不特定多数の投資家から少しずつ資金を募ることをいいます。専用サイトが立ち上がっていて、企業が製品開発や社会課題の解決への取り組みなどのプロジェクトの資金を、クラウドファンディングで調達するケースも増えています。 クラウドファンディングには大きく購入型、寄付型、融資(貸し付け)型、株式型などがあり、種類によって出資者へのリターンや利用条件、審査基準などが変わってきます。株式型とは、非上場株式を発行することで資金調達を行う方法のことです。 クラウドファンディングは知名度や実績のない企業にも資金調達の道を開く有効な手段となり得ます。さらに、ブランディングやファンの獲得につながり、マーケティングにも活用できるといったメリットもあります。市場から資金を集める「クラウドファンディング」を使う債券のしくみ発行市場と流通市場 株式や債券の取引をする市場は、「発行市場(プライマリー・マーケット)」と「流通市場(セカンダリー・マーケット)」の2つがあります。「発行市場」は、企業が資金調達の目的で新規に発行する株式や債券が、おもに証券会社を介して投資家に取得される市場のことをいいます。「流通市場」は、発行済みの株式や債券が、投資家の間で売買される市場のことです。【発行市場と流通市場】

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