金融経済教育 お金を学ぶ 社会のしくみとお金の役割
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必要なお金必要なとき運転資金研究開発費設備投資資金の性格20金融経済教育 お金を学ぶ 企業がもっと事業を広げたい、新しい製品を開発したい、という場合に、前年までの利益ではお金が足りないことがあります。また、製品をつくって納品し、相手先から支払いを受けるまでには少し時間が空きますので、その間の社員の給料やさまざまな支払いのお金が足りなくなることがあるかもしれません。企業にとってどのようなお金が必要でしょうか? もっと利益を上げるには、「たくさん作ってたくさん売る」という方法がまず一番に考えられますが、たくさん作るにはそれなりの設備も人も必要ですし、いろいろなところで売るには店舗の費用なども必要です。そういった費用(コスト)がかさむとかえって利益を減らすことになり、たくさん売るために売値を下げることになれば、売れば売るほどもうからなくなるということになりかねません。 費用を見直して極力抑えながら販売価格を下げてたくさん売り、利益を上げることを「企業努力」などといいます。利益を上げるための企業努力にはどのようなものがあるでしょうか。●商品の代金を回収するまでに経費を支払う●あらかじめ原材料を仕入れる●事業を継続する●新製品などを作るための研究や、新たな技術を開発する●新しい工場を建てる●店舗数を拡大する●新しい機械を導入するなど、事業を広げる出ていくお金と入ってくるお金の時期のずれを埋めるための、比較的短期で回る資金(つなぎ資金)研究の成果が出たり、製品ができるまで、中長期にわたって必要な資金新店舗、新工場、新規事業が稼働し、事業が軌道に乗って収益を上げるまで、中長期にわたって必要な資金●❶仕入れ値を安くする(価格交渉)。安く仕入れられる取引先を探す コストを見直すだけでなく、高くても売れる商品を作る(利幅を広げる)ということも利益を上げる方法として考えられます。希少価値のあるもの、他社の商品にはない特徴やメリットがあるもの、売った後のサービス(修理や点検など)が充実しているなど、その商品だけに特別な価値(付加価値)があれば、類似商品より少々値段が高くても売ることができるでしょう。また、広く世間に知られている、みんなが良いものであるとか安心だと認めている「ブランド」も商品の価値を高めるには有効です。これはサービスにも同じことがいえます。 付加価値の高い商品は、普通に作るより費用や時間がかかったりすることがあります。また社員のスキルアップやノウハウの共有など、特別な人材育成教育が必要になるかもしれません。そのような場合には、中長期的な視野を持って事業を進める必要があるでしょう。 「お金が必要」ということになってまず検討するのは、銀行からの借り入れでしょう。企業が事業のためのお金(事業資金)を借りる方法としては、銀行から直接借り入れるほかにも、「政府系金融機関である日本政策金融公庫や商工中金などの融資」「信用保証協会を経由して銀行から借り入れる自治体の融資制度」などがあります。国や地方自治体も企業が活発に活動して消費者が良い商品を買ったり、便利なサービスを利用したりすることによって経済を活性化させようとしているからです。 個人が住宅ローンを借りるのと同様に、企業が金融機関からお金を借りる場合にも「審査」があります。企業が事業資金を借り入れる場合は、財務内容や今後の事業計●❷製造にかかる電力、燃料、水などの光熱費を抑える(省エネ)●❸人件費を抑える、少ない人数で効率的に製造できるよう工夫する企業が成長するために必要なお金利益を上げるための「企業努力」高くても売れるための「付加価値」金融機関から融資を受ける製造工程を見直したり改善してムダを省き、生産効率を上げる

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