株式投資をやってみよう!

新聞の3つのニュースを押さえよう

新聞

株価は、景気のよしあしや個々の企業の経営成績、また株式を売り買いする人たち(投資家)の動向などに影響されて動く傾向にある。だから、そうしたニュースをきちんとチェックしておくことで、株価の動きをある程度読み解くことができるようになる。特に、次の3つのニュースを押さえておくといい。

(1) 個々の企業や業界に関するニュース


企業の業績がよいと(利益が上がると)、その企業の株主がもらえる配当は高くなる傾向があるので、株式を買いたい人が増え、株価が上がると考えられる。企業の未来の業績を左右するようなニュースをチェックするのは、株式投資の基本ともいえる。

(2) 経済や景気の動きに関するニュース


日本全体の景気がよければ多くの企業の業績が上向きになりやすくなるので、株価も上がる可能性が高い。反対に景気が悪くなれば、株価が下がる可能性が高い。今の景気はどうなのか? 政府は景気のためにどんな対策を打ち出してるのか? などに注目する。

(3) 投資家や株式市場に関するニュース


株価は経済や個々の企業の「実力と成績」だけではなく、マーケット自体の動きによって左右されることもある。日本の株価の傾向や、株式市場の動向を把握しておくことも大切だ。
例えば、ある企業の株価が急激に上がると、株式を売る人が増えるので、一時的に株価が下がることがある(反落)。ある程度まで下がると、今度は「だいぶ安くなったから、そろそろ元に戻るだろう」と考えて、その株式を買う人が増えるので、再び上昇しはじめる(反発)。
日本の景気が好調でも、他の国の景気の方がもっと好調なら、日本企業の株式は人気がなくなり、株価が下がることがある。逆に日本の景気が低調でも、海外の経済情勢が悪ければ、日本の株式が買われて株価が上がる場合もある。日本の株価はどのように推移して、その背景にはどんな要因があるのか? 国内外の投資家はどんな考え方で株式投資をしているのか?投資家や株式市場に関するニュースにも目を向けるようにしよう。

「日本経済新聞」を開いてみよう

株式投資に欠かせないさまざまな経済情報を、毎日調べるのは大変だ。そこで情報収集のために活用したいのが「経済」専門の新聞、「日経新聞」だ。「3つのニュース」の内容に沿って、日本経済新聞の中身を簡単に紹介しよう。

(1) 個々の企業や業界に関するニュース


企業ニュースが充実しているのは日本経済新聞の大きな特徴の一つだ。主な紙面には、大小さまざまな企業ニュースを伝える『企業総合』面、『企業』面や、企業の業績や決算情報を伝える『投資・財務』面があり、特に重要なニュースは1面など他の紙面でも報じられる。
注目したいのは主に次のような記事だ。

・企業の事業展開に関する記事

企業の事業展開

事業を強化するために他社と提携・合併する、海外に支社・支店を出す、新しい工場を建設する、採算の悪い店舗を閉鎖する、といったニュース。収益動向に直結する話題といえる。

・新製品・サービスに関する記事

新たに開発・発売した製品

メーカーが新たに開発・発売した製品、流通・サービス企業が新たに始めたサービスなどに関するニュース。これも収益動向に直結しやすい。「人気ゲームソフトの最新作の発売が遅れている」「商品の不具合が発覚し、回収することになった」といったマイナスのニュースが株価を左右することもある。

・人事や社内制度に関する記事

社長や役員の交代

社長や役員の交代、社員の採用計画やリストラ計画、人事・給与制度の改革、組織変更などのニュース。これらは目先の収益ではなく、その企業の中長期的な事業の方針や経営の安定性・成長性などを左右する話題だ。どんな銘柄に投資すべきか?を考える時の判断材料になる。

(2) 経済や景気の動きに関するニュース


日本経済新聞では、景気動向など経済の大きな流れに関係する記事は、1面や『総合』面、『経済』面に掲載される。特に『総合』面は、解説記事中心の紙面なので、日頃から目を向けておくといい。
具体的には、国内総生産(GDP)や景気動向指数、失業率といった各種の経済データをもとに景気について解説・分析した記事や、景気対策、税制の見直し、環境対策、少子化対策など中長期的な日本経済の動きに影響を与えるような政府の政策の記事などに注目しよう。

(3) 投資家や株式市場に関するニュース


日本経済新聞には、マーケットの動向をつかむための紙面として『マーケット総合』面がある。ここには前日の株価の値動きをまとめて説明する記事が掲載されている。投資家がどのような判断で株式を売買しているのか、株価全体は上昇傾向なのか下降傾向なのか、などを解説記事から読み取るようにしよう。
「円安が進んだことから、輸出関連銘柄が上昇した」などと、値動きの原因を細かく分析した記事が掲載されているので、続けて読んでいけば値動きの傾向やその背景がつかめてくるはずだ。記事では相場全体の動向に加えて、その日に特に動きがあった銘柄についても解説しているから、実際に銘柄を選ぶ際の参考にもなる。

株式投資のために記事に目を向ければ、漠然と読むのに比べてはるかにニュースの内容が頭に入りやすくなるし、読むべき記事とそうでない記事を自分なりに判断しやすくなる。そうやって読み続けていけば少しずつ知識が増えて、記事をより深く読み取れるようになっていくはずだ。

日野先生からのアドバイス

はじめから毎日すべての記事に目を通すのは大変です。まずは興味がある分野から読むようにしていきましょう。