1. 金融そもそも講座

第197回 ビットコインをどう考える

今回から数回にわたって、読者の方々がちょっと気になる、気になるがどうすればよいのか分からないと思っているであろう「仮想通貨」、もっと具体的には「ビットコイン」に関して書いてみようと思う。くれぐれも断っておくが、これは筆者が購入や取引を推奨するものではない

よくいわれるようにその先行きは、はっきり言って不透明だ。その価値は「仮想」に帰すかもしれない。金融界にも賛否両論がある。しかし筆者はこうした文章を書く者として「実体験しなければ」と思ってビットコインを所有し、その動きを日々見てきた。今回はその観察結果であり、次回からはビットコインもっと広くは仮想通貨全体、それへの賛否、各業界(中央銀行なども含め)の動きを「そもそも」的にまとめたいと思う。

6月に購入

筆者がビットコインに最初に興味を持ったのは昨年(2016年)の後半だったと思う。徐々にニュースに出てきていた。そして実際に自分で購入してみようと検討したのは、今年の初めだ。確か1ビットコイン=10万円を超えた程度だった。正直言ってその時思ったのは「高い。下がったら買おう」だった。しかしその「気に入ったレベルへの下げ」(想定では7万円程度)は、その後なかったと思う。

実際に思い切って買ったのは今年6月だ。確か1ビットコイン=30万円を越えたところだったと思う。下がらなかったのに買った理由は以下のようなものだ。

  • 1.「大きな押し」を待っていてもどうにも買えない。最初から勉強用であり、全部失ってもあまり心残りがない金額にするつもりだから、最初に入るレベルはどこでもよいのではないか
  • 2.その他の投資でも何らかの損失を被ることはよくある。ビットコインも同じ事で、損失が生じたとしても、それはそれで勉強になる
  • 3.株の世界もそうだが、新しく出てくる業界はいずれも胡散臭(うさんくさ)い感じがする。ITもそうだった。しかしITは今や世界の経済やマーケットを牽引(けんいん)している。今のニューヨーク市場を牽引するのもNASDAQ100構成銘柄だ。胡散臭いが故に、投資に値する
  • 4.ビットコインはますます話題になっているが、様々な場で情報を発信している者として、実際に扱ってみなければ読者や視聴者に対して失礼である
  • 5.ビットコインの店頭受け入れをビックカメラのような名前の通った小売りチェーンが始めており、実際にビットコインを使って物品・サービスを購入し、支払いをしてみたい

というものだった。

3回に分けて購入

正確な金額は差し控えるが、筆者は同じ金額の円を3回ビットコインに投じている。最初は思い切って、2度目は少し下がったところで。3度目は「もうちょっと入れておきたい」という考えで。

その間に実際の経済活動(支払い)にもっとも多く利用したのは、ビックカメラの有楽町店だ。各階のレジ(5~6台)の中に1台だけビットコインのマークが付いたレジがある。そこで「ビットコインでお願いします」と告げる。そうすると毎回のように一部の店員がちょっとビックリして、「どうするんだっけ」と焦っているのが面白い。支払いは簡単だ。店側が金額を示すQRコードを用意してくれ、それを私のスマホアプリで読み取り、そして支払いは終わる。その度にその時点の円とビットコインとの為替が生じていることになる。

今まででビックカメラ以外で使ったのは日比谷の聘珍樓だ。購入当初に調べたら聘珍樓も最近ビットコインでの支払い受け付けを始めたとネットにあったので、実際に中華を食べに行ってビットコインで支払ってみた。一種の取材だ。すると、店のマネジャーが「伊藤さんが最初のビットコイン支払いのお客様です」と。これは笑えた。支払い方法はビックカメラと聘珍樓で違いはない。どちらもまだ(一部の)店員が「え、どうやるんだっけ」と焦っているのが面白く、それも共通だ。

筆者がビットコインの取り扱いのために入れているのは bitFlyerのアプリである。ビットコインの取り扱いをしている業者、アプリはネットを調べてもいろいろある。それを選んだのは、当時ニュースに一番多く登場していたからだし、私の取引銀行との銀行取引ラインがあったからだ。つまりアプリを入れた後に円資金を払い込むが、その処理がオンラインで可能で、便利だった。

審査あり

取引開始に当たっては最短で約1日かかる審査がある。身分証明を行う。確か運転免許証の写真データをネット経由で送ったと思う。後は銀行口座の認証。アプリ導入で直ちに取引開始にはならないのには、逆に安心感があった。その認証を経て、取引が可能になったとの連絡があって、それから円資金を振り込む。

振り込んだだけではビットコインは入手できない。振り込んだ円資金をアプリ上でビットコインなどの仮想通貨に転換する作業がある。bitFlyerでは現在「ビットコイン」「イーサ」「イーサクラシック」「ライトコイン」「ビットコイン・キャッシュ」「モナコイン」の6種類の仮想通貨を取り扱っている。筆者が自分で購入作業を行い、比較的大きな残高を維持し、それを支払いに利用しているのは、この中ではビットコインだけである。ビットコイン・キャッシュにも残高があるが、それは例のビットコインの分裂騒動の際に業者サイドから付与されたものであって、自分で購入したものではない。使える場所もほとんどない。

ビットコインで支払いができる店は徐々に増えている。最近では新宿のマルイアネックスが期間限定で受け入れているし、HIS(エイチ・アイ・エス)の首都圏38店舗も受け入れを行っていると報道されている。しかし何よりもこのチャート が示すのは投資対象としての面白みだ。ビットコインはたたかれてもたたかれても、頭をもたげてくる。次回に書くが、この仮想通貨をたたいているのは時に中国政府であり、JPモルガン・チェースのダイモンCEO(最高経営者)だったりする。一方で擁護者もいる。

なぜそうなのか。なぜたたかれるのか、そしてそれでも買い手が続いているのかに関しては次回以降に取り上げたい。繰り返しになるが、これは筆者がビットコインの購入や取引を推奨するものではないことを強調しておきたい。(

ご注意:本コラムは、上記掲載日から2週間程度前に伊藤洋一氏が執筆されたものです。
閲覧される時期によっては、現状に即さないことも予想されます。また、内容には仮定に基づいた記述も含まれます。ご了承ください。

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