1. いま聞きたいQ&A
Q

「株主優待」は株式投資において、どのような意味を持つのでしょうか?

値上がり益や配当に次ぐ第3の収益

株主優待とは、企業が一定以上の株式を保有する株主に対して自社製品や割引券などを贈呈する、一種の利益還元策のこと。企業にとって、もともとは「個人投資家にできるだけ多くの株式を保有してもらうこと」が株主優待の大きな目的であり、保有する株式数の多い株主に対しては優待を手厚くするケースが一般的です。

加えて最近では、株主優待の内容に関して新たな動きも目立ってきました。例えば、保有株式数の多い株主だけでなく、保有期間の長い株主(長期投資家)に対しても優待を手厚くする企業が増えています。これは株主優待において、「安定株主の確保」という企業の目的意識が強まったことを意味します。

一部の企業では、株主が優待として製品などを受け取る代わりに、環境活動団体や福祉団体への寄付を選択できる仕組みを採用しています。そこには自社のイメージ向上とともに、エコファンドやSRI(社会的責任投資)ファンドなどの投資対象として自社株を組み込んでもらい、株価の安定化を図るという狙いもあるようです。

私たち個人投資家にとって、株式投資における株主優待の意味は、大きく分けて2つあると考えられます。ひとつは、受け取った製品やサービスを実際に試してみることで、企業の投資価値を判断する材料になるという点。とくに外食企業の割引券や電鉄企業の鉄道パスなどは、店舗や路線に足を運ぶ動機づけになります。味やサービス、お客さまの利用状況などを通じて、企業の魅力や課題を自分の目で確認することの意義は大きいのではないでしょうか。

もうひとつは、値上がり益や配当に次ぐ「第3の収益」としての意味合いです。株主優待で受け取れる製品やサービスを金額に換算し、株式を1年間保有し続けた場合の利回りを算出した「優待利回り」という指標があります。この優待利回りと配当利回りを合算し、それを実質的な配当利回りと考えて投資の参考にする投資家もいるようです。

配当利回りと同様に、株価が下がると優待利回りは上がるという関係にあるので、利回りが高い企業でも株価の動向には注意が必要です。

株主優待の権利をめぐって株価に影響も

株主優待への注目が高まるなか、それが株価に影響を与えるケースも見られます。投資家が株主優待を受けるためには、その権利が確定する「割当基準日」の4営業日前(権利付き最終売買日)までに株式を購入しておく必要があります。株主優待の人気が高い銘柄では、株主優待を受ける権利を狙った「買い」や、逆にその買いを狙った「売り」が集中するため、権利付き最終売買日をはさんで株価が上下しやすくなるのです。

例えば、ヘラクレス市場に上場しているスターバックスコーヒージャパンの場合、割当基準日が3月末なので、今年(2009年)は3月25日が権利付き最終売買日でした。同社の株価は1カ月ほど前から徐々に上がり続け、3月25日の当日には40,650円と年初来高値をつけましたが、翌26日には38,300円まで下落しています。

東証1部上場のオリエンタルランドは、割当基準日を3月末と9月末に設定しており、直近の権利付き最終売買日は2009年9月24日でした。連休をはさんで前営業日だった9月18日は、株価が6,280円で出来高が19万4,500株でしたが、24日の当日には株価が6,310円に上昇し、出来高は79万5,600株まで急増しました。ちなみに翌25日の株価は6,270円まで下落しています(以上、株価はいずれも終値)。

こうしたケースの背景には、株主優待を受けることが株式投資の主目的になっている投資家の存在があると思われます。できるだけ早く優待を受けたいという気持ちは分からないでもないですが、業績や財務内容といった企業価値や、「できるだけ安く買って高く売る」という株式投資の基本を軽視するようなことになっては、それこそ本末転倒でしょう。

株主優待の中身も含めて、企業を末永く応援していきたいという気持ちがあるならば、優待を受けるのは半年後や1年後からでよいと割り切って、権利付き最終売買日が明けて株価が安くなってから買うことも考えたいところです。

ご注意:「いま聞きたいQ&A」は、上記、掲載日時点の内容です。現状に即さない場合がありますが、ご了承ください。

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