いま聞きたいQ&A

SQとは? わかりやすく教えてください。

「SQ(Special Quotation)」とは、日経225先物やTOPIX先物などの株価指数先物取引や株価指数のオプション取引における、特別清算指数のこと。先物・オプション取引の清算が重なる3、6、9、12月の各第2金曜日を「メジャーSQ」、その他の月の第2金曜日を「マイナーSQ」と呼びます。メジャーSQは売買高が膨らみ、株価の変動率も大きくなる傾向にあります。

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“SQ”とは、日経225先物やTOPIX先物などの株価指数先物取引、または株価指数のオプション取引などを、最終的な決済期日で決済するための「特別な価格」のことを指します。SQとは“Special Quotation”の略で、そこで算出された価格は特別清算指数、最終清算指数、あるいはただ単にSQ値などと呼ばれます。

SQには、「メジャーSQ」と「マイナーSQ」と呼ばれる2種類が存在します。メジャーSQは先物取引の清算日である3月、6月、9月、12月のそれぞれ第2金曜日で、マイナーSQは、それ以外の月(同じく第2金曜日)。オプション取引の清算日は毎月あるので、先物取引とオプション取引の清算が重なるSQをメジャーSQと呼びます。メジャーSQ時は、寄付きでより多くの売買がなされて売買高が大きく膨らみ、株価の変動率も大きくなる傾向があります。

まずは概略から述べます。商品先物市場には、最近なにかと話題にのぼる原油や金、ガソリン、砂糖のように、実際に売買の対象となる実物の裏づけがあります。
このような商品を先物で取引する場合、最初に先物を買っておいて、決済する段になって実際におカネを払って現物を引き取ることができます。

ところが株式市場で取引されている株価指数先物取引では、取引の対象となる日経平均株価やTOPIXは、あくまで計算上で算出された抽象的な数字であるために、最終的な取引の期限が来ても、おカネを支払って実物を引き取ることができません。そのために最終的な決済期日が来た時は、すべて反対売買によって決済されることになります。その際に用いられる決済のための価格が“SQ”、すなわち特別清算指数、最終清算指数です。

次にもう少し具体的に説明いたしますが、ここでは主に日経225先物取引を例に取り上げます。

日経225先物取引の限月(げんげつ、取引される期間)は常時5本が上場されており、最長で1年3カ月先までの先物が取引されています。たとえば現在なら2005年9月限、同12月限、2006年3月限、同6月限、同9月限です。それぞれの限月の最終取引日は、3月、6月、9月、12月の各月の第2金曜日の前日と定められています。
通常は木曜日ですが、その日が休日なら1日ずつ繰り上げられます。

日経225先物を売買する投資家は、近い将来に値上がり(△)が予想される時は先物を買って、最終取引日が来る前に、値上がりした時を見計らって反対売買(この場合は売り)をすることで決済します。反対に、近い将来に値下がり(▼)が予想される時は先物を売っておき、最終取引日が来る前に、値下がりした時点で反対売買(この場合は買い)で決済します。

ひとつの限月が終了する前に反対売買で決済してしまう取引では、SQはさほど関係ありません。しかし反対売買による決済をしないまま(つまり建て玉を持ったまま)最終売買日を迎えた時は、買い建て、あるいは売り建てしているポジションは、すべてSQの値段によって強制的に決済されます。それゆえにSQは「最終清算値」と呼ばれます。

先物各限月の最終取引日は木曜日(休日の時は1日ずつ繰り上げ)で、SQ値は「金曜日の始値の現物指数の値段」によって算出されます。日本に株価指数先物取引が開始された当初は、先物各限月の最終取引日は金曜日と定められ、SQ値は「金曜日の大引けの現物指数の値段」という制度が採用されていました。しかしこの制度では、金曜日の大引けに株価が極端に変動するケースが多くなり、株価形成上の弊害が目立つようになったため、1989年9月限の取引より現在の制度になりました。

SQ値は「金曜日の始値の現物指数の値段」です。具体的には、日経平均株価を構成する225銘柄すべての金曜日の始値でSQ値が計算されます。その日に買い気配や売り気配などで値のつかなかった銘柄は、その気配値に基づいて算出します。ここに至ってその限月で取引されたすべての先物未決済建て玉は清算されることになります。

SQ値が算出される3月、6月、9月、12月の第2金曜日の直前になると、株式市場がざわざわと浮き足立つことがあります。それは先物取引を利用した「裁定取引」が存在するためです。裁定取引(さいていとりひき)とは、現物と先物との値段の差を利用した取引で、いわゆる「サヤ取り商い」と呼ばれるものです。

通常の取引では、先物の価格は決済を先に伸ばしているために、その間の金利分だけ現物の価格よりも高くなるのが普通です。日経225先物の価格は、現物の日経平均株価よりも理屈の上では高くなります。それが時として株式市場に強気心理が広がったりすると、先物の値段が金利分を上乗せした妥当値をさらに上回って取引されるというケースが出てきます。そのような時に、割高な先物を売って(売り建て)、割安な現物を買うという価格差を狙った裁定取引が組まれます。

(先物売り:現物買い)という裁定取引のポジションが最終売買日まで持ち越されると、SQによって強制的に(先物売り)のポジションが清算されるため、その見返りとなっている(現物買い)のポジションも反対売買の売りとなって市場に出てきます。

とりわけ通常よりも裁定取引のポジションが膨らんだ状態のまま、3、6、9、12月の第2週を迎えたりすると、裁定取引に関わる現物の売りがSQの日に出てくるのではないか、という不安心理が市場に広がりやすくなります。実際にこのような現物の売り物が出てくるかどうかはフタを開けてみないとわからないのですが、ただでさえSQは休みを控えた週末の金曜日に行われるため、市場では売りが優勢になりがちで株式市場は神経質になります。

さらに裁定取引には直接には関わっていない、まったく別のインデックス系ファンドなどが、まとまった現物株の売りが出てくると予想されるSQの週の金曜日寄り付きを利用して、大量の現物買いを仕込むための買い注文を出すこともあります。巨大な売り注文と買い注文が、金曜日の寄り付きという非常に限られた一時点に集中して執行されるために、SQ当日の東証全体の出来高は通常取引の2~3倍に膨らむこともしばしばです。

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