2004年4月14日
長くなりましたが、以上が損益計算書の仕組みのすべてです。株式会社はどんな企業でも必ずこの形式に沿って、決算のたびに損益計算書を作成しているのです。
ここでようやく最初の質問に戻ります。今回の質問は、「『営業利益』より『税引利益』の方が多い会社があるのはなぜですか?」というものでした。
わかりますか?
これまで説明してきました損益計算書の仕組みがわかると、自然と答えも出てくるはずです。ヒントは、「営業利益を計算した後に、何を足したり引いたりして税引利益を出しているのか」という点にあります。
答えは、(1)特別利益が多い、(2)営業外収益が多い、の二つが考えられます。
(1)の「特別利益が多い」例では、ライオンがあります。ライオンの2003年12月決算を見ると、売上高3085億円に対して、営業利益は98億円に過ぎません。受取利息などを上乗せしても、経常利益は112億円です。これに対して、厚生年金基金の代行返上による「非日常的な」利益が100億円近く発生しているため、特別利益は103億円にものぼっています。リストラ費用などを特別損失として76億円計上しても、税引前利益は139億円になり、この結果、法人税を差し引いた当期純利益は109億円で、営業利益(98億円)を上回っています。
(2)の「営業外収益が多い」例では、家電量販店のヤマダ電機を見ておきます。家電量販店は薄利多売で利幅が小さく、ヤマダ電機の売上高は8000億円近くになりますが、本業部分の営業利益は30億円弱でしかありません。しかし営業外収益として、家電メーカーからの仕入割引(しいれわりびき=大口販売先に対して、家電メーカーが納入単価を引き下げてサービスすること)が71億円、販促協力金(はんそくきょうりょくきん)が22億円もあるため、この結果、経常利益は182億円にグンとアップします。法人税を差し引いた当期純利益は55億円にのぼり、営業利益(27億円)を2倍以上も上回っています。
一般論で言えば、質問にあるような「営業利益<税引利益」のケースは、(1)のライオンのようなケースがほとんどで、(2)のヤマダ電機のようなケースは例外的なものです。この例では、小売ビジネス独特の商慣行である「仕入割引」の存在が大きいようです。
最後になりますが、株式投資に臨む基本として企業会計の知識は欠かせません。特に「簿記」の知識は絶対に必要です。最低でも簿記2級、できれば簿記1級くらいのレベルを、できるだけ若いうちに習得されておくことをお勧めいたします。
ご注意:「いま聞きたいQ&A」は、上記、掲載日時点の内容です。現状に即さない場合がありますが、ご了承ください。