2004年4月14日
ここで具体的に企業の会計帳簿を見てみましょう。売上高と利益の両方で日本一のトヨタ自動車を例にとります。トヨタを含め、3月決算を採用している会社は、まもなく2004年3月期の決算を発表する予定です。今の時点では実際にまだ発表されていませんので、1年前の2003年3月期の会計帳簿を使います。
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トヨタの損益計算書を見てください。さすがは世界有数の自動車メーカー、トヨタです。売上高は16兆円に達し、経常利益は1兆円を超えています。薬品メーカーの日本一は武田薬品ですが、その武田ですら売上高は1兆円を超えたばかりです。トヨタは利益の部分だけで武田薬品の売上高を越えております。
損益計算書の仕組みを見てゆきましょう。トヨタが1年間にわたって世界中で販売した自動車の合計額が16兆円(売上高)です。その売上高から、自動車を作るのに必要な部品や労賃の額(売上原価)を差し引き、さらに広告宣伝費や工場の光熱費など(販売費及び一般管理費)を引いて、「営業利益」が算出されます。営業利益はトヨタが1年間で自動車を作って販売して得た、まさにトヨタの本業部分での利益です。
しかしトヨタの企業活動は、自動車の製造・販売だけに限定されるわけではありません。本業以外の部分でのおカネのやりとりがあります。トヨタは豊富に持っているおカネを貸しているため、そこから受け取る利息や配当金が「営業外収益」として3000億円近くもあります。これを営業利益に足します。次に、借りているおカネの利息の支払いも2500億円近くあるため(「営業外費用」)、これを差し引きます。「営業外収益」と「営業外費用」という、本業でない部分でのおカネのやりとりを足して引いて、「経常利益(けいじょうりえき)」が算出されます。
経常利益は、トヨタの本業での部分はもちろん、本業ではない部分の利益やコストも加味されて出てきます。利息の受け取りや金利の支払いなどは、本業ではないといっても、トヨタが「日常的に」行っている企業活動の一貫として生じています。日常的な活動から得られる利益のため、「経常利益」と呼ばれています。
しかし企業の活動には経常的、日常的ではないものもあります。代表的なものは土地の売買です。三井不動産や三菱地所のような不動産会社は、土地の売買を本業としてビジネスを行っていますが、トヨタは本業が自動車の製造・販売であるため、土地の売買は日常的なものではありません。トヨタが土地を売却して利益を得たとしたら(または損失を出したとしたら)、それはトヨタにとって日常的な利益や損失にはなりません。
そのような「日常的ではない」ビジネスから生じた利益や損失は、別枠で表示します。それが「特別利益」と「特別損失」です。トヨタの2003年3月期のケースでは、特別利益が2300億円生じました。特別損失はありません。この両者の金額を足し引きして、「税引前利益」が算出されます。
むずかしいですか。残るはあとひとつです。税引前利益から法人税(50%弱)を差し引いたものが「当期純利益」です。法人税を支払った後の利益なので「税引利益」とも呼ばれ、ただ単に「純利益」とも呼ばれます。当期純利益こそが企業の1年間のビジネスによって、最終的に手元に残った利益の部分です。これを基に企業は株主に対して配当を出したり、社内の役員たちにボーナスを出したりします。また株式投資の代表的な投資指標である「一株当たり利益」は、この当期純利益を株数で割り算して算出します。
ご注意:「いま聞きたいQ&A」は、上記、掲載日時点の内容です。現状に即さない場合がありますが、ご了承ください。