1. いま聞きたいQ&A
Q

「株式テーマ」に沿った投資について教えてください(後編)

将来に向けて確信できるのは、世界の人口が増え続けること

株式テーマに乗った銘柄は、時として株価が比較的短い期間に数倍から数十倍も上昇することがあります。その迫力を目にして「自分もこれからが旬のテーマをうまく探し当てたい」と思う人が多いかもしれませんが、言うまでもなく、そんなに上手くいくものではありません。

あなたは今から3年後や5年後に、どのような産業のどのような業種がスポットライトを浴びているか想像がつきますか?あらゆるモノとインターネットがつながるIoTや人工知能(AI)、それらを活用したロボットや自動運転車、さらには再生医療への応用が期待されるiPS細胞など、将来性の高い新技術は目白押しの状態です。ただ、それらの中から何が実用化され、社会・経済にどのようなインパクトをもたらすことになるのか、正確には分からないのが現実です。

もうひとつ、特に長期で少しずつ投資しながら資産を運用していこうと考える人にとって大切な問題があります。あなたにとって資産運用のゴールはいつになるのでしょうか。例えばそれが10年後や20年後だとすると、あなたにとってベストな展開とは、コツコツと少しずつ購入した銘柄の株価が、10年後や20年後に購入時よりもできる限り上昇していることです。すなわち、あなたが株式テーマに沿った投資をめざす場合には、10年後や20年後に大きく花開いていそうなテーマを選ぶことが重要になるわけです

そのような株式テーマが本当にあるのでしょうか。できるだけシンプルに考えてみます。私たちを取り巻く社会や経済が目まぐるしく変化し、世の中の不確実性がどれだけ高まったとしても、恐らくこれだけは実現するだろうと確信できる見通しがひとつだけあります。この先、世界の人口が相当の期間にわたって増え続けるということです。

人口増加の中心は新興国です。国連の人口推計(中位予測)によると、アフリカでは2015年央に12億人弱だった人口が50年には25億人弱に達する模様です。アジアでも現時点で15歳未満の人口が10億人近くに上っており、今後45年までは15歳~64歳の生産年齢人口がかつてないほどのペースで増え続けると見込まれています。

新興国に強い日本のグローバル企業に分散投資する

実はここにきて、世界の金融市場では新興国を見直す動きが広がりつつあります。新興国全体をカバーする「MSCI新興国株指数」(現地通貨建て)は、今年(2016年)1月から20%超の上昇を記録しました。ブラジルやメキシコなど、株式相場が年初来高値を更新するケースも目立ちます。背景にあるのは資源価格の持ち直しに加えて米国の利上げが緩やかに進みそうなことから、新興国の景気回復への期待が高まっていることです。

私たち日本の個人投資家が新興国の株式市場に投資するとなると、継続的な情報収集などが大きな壁になりそうですが、この点について、ある投信会社の社長が以下のような発言をしています。「新興国でシェアを握っているのは現地の企業ではなく世界のグローバル企業であり、人口が増加する新興国の成長を享受するためには、日本のグローバルな大企業に投資すればいい」

この考え方はリスク低減の面でも理にかなっていると思います。新興国では一般に政情不安や通貨安などのリスクが高く、現地企業はそれらの直接的な影響が避けられませんが、新興国に進出している日本企業ならば、万が一の場合でも影響を最小限に食い止めることが可能でしょう。その意味では、日本国内も含めてグローバルに幅広く事業を展開している大企業に投資する方が安心です。

ひとことで新興国に強い日本企業といっても、その業態は多岐にわたります。例えば最近になって株価上昇が目立つのが、中国やロシア、東欧向けに幅広く工具を販売するマキタや、中国とインドを中心にアジアで塗料事業を積極展開する日本ペイントホールディングスなど。その他、空調機のダイキン工業や建設機械のコマツ、食料品のJTや味の素、さらには三菱商事、丸紅といった商社勢なども新興国関連銘柄として従来から知られています。

実際の投資にあたっては、業種や銘柄を絞りこむのではなく、インフラ関連から個人消費関連までさまざまなタイプの企業に分散投資しておくのが賢明と思われます。10年後や20年後の新興国でどのようなニーズが高まるかを予測するのも、やはり難しいからです

むしろ慎重に考慮すべきなのは資産構成についてではないでしょうか。例えば新興国関連企業に、内需関連企業や先進国に強いグローバル企業など収益構造の異なる銘柄を組み合わせて投資することで、株式投資の全体的なリスクを抑える効果が得られます。ちょっとした工夫を加えることでモチベーションの維持・向上を図りながら、10年~20年という長期の株式テーマに沿った一般個人ならではの壮大な投資をぜひとも完遂したいところです。

ご注意:「いま聞きたいQ&A」は、上記、掲載日時点の内容です。現状に即さない場合がありますが、ご了承ください。

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