1. いま聞きたいQ&A
Q

投資の初心者はNISAをどのように活用すればいいですか?

資産移転を伴いながら3世代で活用するという考え方

今年(2016年)4月1日から、未成年者向けの少額投資非課税制度「ジュニアNISA」がスタートしました。これで先行する成人向けNISAと合わせて、日本の個人金融資産に「貯蓄から投資へ」の流れを促す仕組みが、すべての年代をカバーする制度として一応は整ったことになります。

国や金融機関はNISAに大きな期待を寄せているようですが、私たち一般個人としてはこの制度の意義をどのように捉え、どのように活用すればよいものか、まだ手探りの状態というのが本音ではないでしょうか。確かにNISAの非課税という魅力は大きいものの、そのメリットが受けられるのはあくまでも投資を行うことが前提です。投資の未経験者や初心者にとっては「NISAを使うこと=投資を始めること」であり、何はともあれ投資という行為に踏み出す覚悟と決断が求められることになります。

一方で、もっと大きな視点に立つと私たちがNISAを使うことの違った意味も見えてきます。例えば、日本で長らく問題になっている金融資産の世代間移転にNISAが一役買うことになるかもしれません。

日本では過去10年以上の間、若年層を中心に消費支出額が減少してきましたが、高齢者に限ると消費はむしろ増加傾向にあります。60歳代以上の世帯が最終消費支出に占める割合は、2000年の30%から最近では50%近くまで上昇しています。

そんななか、ジュニアNISAの年間80万円という非課税枠を使って祖父母世代が孫世代に資金を拠出した場合、結果として子育て世代の消費行動にも大きな影響を及ぼす可能性があります。本来ならば自分たちが負担する子どもの教育費などがジュニアNISAに別勘定として積み上がっていくため、その分を安心して他の消費に回せるようになるからです

家計に余裕ができれば、子育て世代がその一部を自らの年間120万円というNISA枠を使った投資に回すケースも出てくるでしょう。そこでは投資資金の使途から近い将来に必要となる教育費などは除かれるため、基本的には老後に向けた資金づくりなど、より長期のスパンで目的を固定しない投資が可能になります。

ジュニアNISAの非課税枠は生前贈与の非課税範囲である年110万円に収まるため、生前贈与を通じて将来の相続税を減らすという効果も期待できます。このように、金融資産の移転を伴いながら3世代でNISAを活用していくと考えるならば、例え初心者でも投資のハードルはずいぶん低くなるのではないでしょうか

バランス型投信は他の商品と組み合わせて購入したい

現実問題として投資を始めることは簡単でも、投資で収益を上げることは簡単ではありません。例えば初心者ほど、いざ投資を始めるとなると短期的な価格下落のリスクを気にする傾向が強く、それが十分な収益を上げるうえで大きなネックになることもあり得ます

私たちが購入した株式や投信の価格が下がって一時的に損失が生じても、それらを売却するまで損失は確定しません。すなわち投資においては日々の収益も損失も、ひとつの投資が完了するまでの「過程」にすぎないわけですが、例え一時的であっても相場の急落などによって大きな損失を抱えるのは耐えられないという人が多いようです。

そのせいでしょうか、15年にNISAで購入された投信をみると、国内外の株式や債券に分散投資する「バランス型」の人気が高まっています。世界の金融市場が大きく荒れた今年1月~2月の期間中、バランス型に分類される投信の平均的な基準価格の下落率は、株式型の半分以下に収まっていました。「守りに強い」とされるバランス型投信の本領発揮といえそうですが、だからといってNISAの非課税投資枠をすべてバランス型投信の購入に充てるというのは考えものです。

注意点は2つあります。ひとつは日本や欧州でマイナス金利が導入されたことにより、債券の利息収入が従来ほどは期待しにくくなっていること。バランス型投信にとって債券は、運用資産全体のリスクを抑制すると同時に安定的な収益源になるという重要な役割を担っていますが、その機能低下を通じて今後はバランス型投信の運用が難しくなり、リターンも低下していく懸念が指摘されています。

もうひとつは、特に守りに強いといわれるバランス型投信の多くが、相場の局面に応じて資産配分を大胆に変更する戦略をとっていること。波乱相場が予想される際などに株式の組入比率をゼロにするケースもあるようですが、これは逆にいえば相場の上昇局面でリターンが限定的になる可能性があることも意味します。

一時的な損失の回避や低減に気を取られるあまり、肝心のリターンも小さくなる方向へ投資を偏らせてしまうことは、収益に対して非課税となるNISAの本来的な意義に反するのではないでしょうか。NISAの投資枠でバランス型投信を購入する場合には、例え少額でも他の収益性の高い商品を同時に購入して、期待リターンを少しでも高めておくことが賢明だと思います。

ご注意:「いま聞きたいQ&A」は、上記、掲載日時点の内容です。現状に即さない場合がありますが、ご了承ください。

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