1. 先駆者たちの大地

先駆者たちの大地

株式会社岡村製作所 創業者 吉原謙二郎

1945~1950年 米軍用オフィス家具の製作

創業当時のヒット商品である鍋、フライパン、おたま、天火など(1945年頃)

創業当時のヒット商品である鍋、フライパン、おたま、天火など(1945年頃)

「協同の工業」という人的資産以外に、オカムラにはもうひとつだけ資産があった。日本飛行機が航空機用に所有していた600トンものジュラルミンの板である。これを材料に、オカムラは日用生活品の生産を始めた。最初に作ったのは、鍋、フライパン、ご飯蒸し器、天火、筆入れ、弁当箱、灰ならし、おたま、ケーキターナー。市場での反応は良かった。一面焼け野原となった横浜では、ジュラルミンの板をプレスして取手をつけただけのものでも飛ぶように売れたのである。なかでもオカムラのフライパンはベストセラー商品だった。しかし戦後2~3年経つと本職の手による機能的な商品が出始め、オカムラの鍋の需要は下降していった。新たな事業への模索が、こうして始まった。

現在のスチールデスクの原型となった「36型」デスク(1955年)

現在のスチールデスクの原型となった「36型」デスク(1955年)

現在のスチールデスクの原型となった「36型」デスク(1955年)

現在のスチールデスクの原型となった「36型」デスク(1955年)

その頃、横浜に駐留していた米軍第8軍司令部のなかに日本での物品調達のための兵站部が設置され、米軍が必要とする物品のリストがそのつど提示された。ここに新しい事業の芽があると見たオカムラは各種の入札に次々に参加し、スチール製の机と椅子、厨房器具、ブラインド、小型四輪駆動車のトップカバー、車のナンバープレート、ラジエーターカバー、犬の鑑札などを生産した。なかでも飛行機の機体に使用する薄板の加工技術を応用したスチール家具は好評で、その後も受注が続き、しだいに生産も波に乗るようになっていった。これがオカムラのオフィス家具製作の始まりである。
オフィス家具の生産は軌道に乗ってきたが、日本飛行機出身の技術者が多かったオカムラでは、何とか「動く製品」を開発したいと考えていた。ある日、米軍の将校がアメリカのクッシュマン製スクーターに乗って工場へやってきた。そのスクーターには、動力伝達部分に流体継手が装着されていたのだが、これに注目したのが、流体力学に精通していたオカムラの技術顧問、山名正夫であった。山名は1949年に新たに機械部を設立して、トルクコンバータ(流体変速機)の本格的な研究にとりかかった。こうして翌1950年、オカムラは国内初のトルクコンバータの開発に成功し、生産を開始した。最初にこの製品を搭載したのは国鉄のディーゼル機関車で、その後、フォークリフトやパワーショベルなどさまざまな分野で活用されるようになり、オカムラは現在に至るまで、高性能のトルクコンバータを製造している。「動く製品を開発したい」という技術者たちの夢はこうして叶えられたのだが、その2年後、さらに大きな夢が現実のものとなったのである。

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IRマガジン2003年秋号 Vol.63 野村インベスター・リレーションズ

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