先駆者たちの大地

株式会社荏原製作所 荏原創業者 畠山一清

2000年〜 ゼロエミッション社会をめざし環境トップランナーが語り始めた

ターボ分子ポンプの精密組立工程の写真
リーンルーム等に適用されるターボ分子ポンプの精密組立工程

滋賀県草津市にある琵琶湖博物館を訪ねた。呼び物は日本最大級の淡水水族館だ。トンネル水槽ではホンモロコ、ビワマス、ニゴロブナなどの固有種が群泳している。ここをはじめ全国の施設の半数近くを、荏原の「ライフサポート・システム」が支えている。
あるいは、半導体生産現場での荏原の「ミクロの環境技術」。超高真空やクリーンルームに欠かせない真空ポンプや排ガス処理装置、超々純水製造装置、洗浄水をリサイクルする排液処理装置、ウエハー研磨装置、はんだ・めっき装置まで広範に提供している。

荏原の環境総合エンジニアリング技術は、ごみ発電の本命とされる流動床ガス化溶融技術などの大型設備に目を奪われがちだが、生物環境から超ハイテク環境まで、きわめて幅広い。「ライフサポート・システム」などは、「クローズな」環境下で、生き物に必要な条件をすべて満たすという意味で、小さな「ゼロエミッション社会」といえるのではないだろうか。
こうした展開にもかかわらず、「ポンプのエバラ」のイメージが強すぎて、荏原の環境総合エンジニアリング技術は、一般には認知されていない面もあった。荏原はつい10年ほど前まで、「技術と製品が語ればいいのであって、自ら誇る必要はない」という会社だったのだ。
しかし、地球環境が危ぶまれるようになった今日、荏原は積極的に発言を始めた。地球環境の保全には、公害対策のような局所・対症療法ではなく、省資源・省エネ、廃棄物の減容・リサイクル、そして自然エネルギーの活用など多様なアプローチによる技術のベストミックスが必要だ。荏原はそのトップランナーとしての責務から、ゼロエミッションの「環」を結ぶ「循環共生型社会」の実現をめざす伝道者たらんとしているのだ。

IRマガジン2000年5-6月号 Vol.43 野村インベスター・リレーションズ