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| 浅草・田町排水上に設置された6台の大口径ポンプ |
井口博士の渦巻ポンプは世界が認めている。原理は羽車で水流に遠心力を与えて送出するものだが、博士の試作ポンプは揚程39.5m、平均効率69%という、当時としては驚異的な成績をあげていた。これを何としても世に出したい。畠山は自ら事業化を決意する。といって大家族を抱えて蓄えもない。苦肉の策として設計だけを行い、製作は外注する方法を考えたのだ。こうして、1912年、銀座に「ゐのくち式機械事務所」の看板を掲げた。30歳の再出発であった。
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| 羽田本社に保存されている同ポンプ |
井口博士の後見を得て仕事量は順調に増え、3年後には日暮里に工場を取得できた。おりしも1914年に第一次大戦が勃発し、輸入品が途絶したことも幸いした。国産品採用の動きが出てきたのだ。ある日、東京市から浅草の田町排水場向けに、口径1,140mmの大型ポンプ6台の注文が舞い込んだ。今日でも大容量のポンプだが、工場には満足な工作機械もないので、手ボール盤で穴をあけ、手ヤスリをかけて仕上げ、何とか納入した。ちなみにこのうちの1台は、1960年(昭和35年)に役目を終えたものを引き取って、羽田の本社中庭に展示してある。
IRマガジン2000年5-6月号 Vol.43 野村インベスター・リレーションズ