1. 先駆者たちの大地

先駆者たちの大地

味の素株式会社 創業者 二代三郎助

1888~1908年 鈴木ナカ、ヨード事業を開始

ある日、妻が用意した湯豆腐を食べながら、ダシ用昆布のうまみの秘密を解き明かそうと思い立った物理化学者がいた。化学者がその答えを見出した1908年2月、ひとりの男が研究室のドアをたたいた。その男こそ、味の素の創業者となる二代鈴木三郎助、物理化学者は、東京帝国大学教授の池田菊苗。この出会いが、始まりであった。

池田菊苗教授

池田菊苗教授

さて、味の素の創業を知るには、ここで時計の針をもう少し戻さなければならない。帝国大学での出会いより20年ほど前、葉山の海岸で、物語は幕を開ける。
味の素株式会社初代社長、二代三郎助の母、鈴木ナカは、夫、初代三郎助が35歳の若さで世を去ったのち、家計の足しにと避暑客のために葉山で自宅の間貸しを始めた。その客のひとりに大日本製薬会社の村田春齢がいた。村田は海岸に漂流している「かじめ」に注目し、ナカにこれを焼いてヨードを作ることを勧めた。ナカはこの勧めに従い、嫁のテルとともにヨード製造を開始したが、その頃息子三郎助は東京の蛎殻町へ出かけ、投機に熱中するありさまだった。1888年の秋のことであった。

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IRマガジン2002年3-4月号 Vol.54 野村インベスター・リレーションズ

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