2008年2月18日
2008年に入り、内外の株式市場は大きく揺れ動いています。長期運用を考えている皆さんも、何かと思い悩まれることが多いのではないでしょうか?
このコラムでも「しっかりした計画を立てて、長期運用を心がける皆さんは短期的な市場の動きに惑わされる事なく、既定の方針どおりの運用を続けられるように」と何度もお話して参りました。マナ爺としては、この提言を再度訴えます。少なくとも10年以上の投資期間を前提とする皆さんは市場の動きに惑わされてはなりません。ただし、皆さんが運用計画を立てられた時に前提とされた市場の構造に変化が生じた場合は、修正が必要となります。従って、問題は「市場の構造変化とは何か?」そして「どのような変化を市場の構造的変化と考えるべきなのか?」なのです。換言すれば、市場の構造変化の定義と条件が問われる事になります。これはなかなか難しい問題です。
皆さんが老後の生活を考える時に、退職時に必要な金額を想定し、その目標を達成するための投資収益率とどの程度のリスクを取れるのか(リスク許容度)を考えます。これを計算するには計画実現のために組入れる資産を選び、それぞれの資産のリターンとリスクを想定します。どのような資産を組入れるかは色々な資産の組合せがどの程度分散投資の効果を上げるかによりますから、組入れる資産相互の相関の度合いが大切になります。少し面倒な言葉にしますと、組入れる資産毎の長期の投資収益率(リターン)とリスク(通常は標準偏差)、それに組入れる資産間の相関係数を想定する事になります。従って、皆さんの立てられた長期の運用計画の見直しが必要になるのはこれらの予想に変化が生じた時になります。
少し具体的に考えてみましょう。皆さんが仮に5年前に老後のための資産形成長期計画を立てられたとしましょう。貴方は日本株の今後30年間の予想投資収益率を年率平均で7.0%、リスクを15.0%と考えていました。しかし現在はその後の日本経済の長期予想や政治の中長期的な不安定性を考えて投資収益率の予想を6.5%、リスクは16.0%が妥当と考えなおしました。同時に、5年前にはあまりにも不安定で、世界経済の中でのウエイトも低いと考えていた中国やインドなど発展途上国が、今後とも高い経済発展を続け、しかも先進国の経済との相関が低いと考えました。すなわち、あなたのポートフォリオにとって、発展途上国への投資は、ポートフォリオ全体のリターンを高めるだけでなく、全体のリスクを下げる効果もあると判断しました。このような場合には運用計画の見直しが必要となります。あなたの資産形成計画の目標投資収益率とリスク許容度によりますが、少なくとも発展途上国への投資を少なくとも5%は加え、米国株と日本株への投資を合計で5%は減らす必要があります(経験的に言いますと一つの資産への投資は最低でも5%ないとポートフォリオ全体への有効な効果は出ないと思います)。
さて以上のような観点から、最近のサブプライムローン問題に端を発した市場の混乱は、長期投資の立場から見て構造的な変化を意味するのでしょうか?米国の住宅投資の落ち込みは循環的な動きに過ぎないかもしれません。しかしこれが世界の金融市場の資金の流れの質と量を長期的に見ても変えると見れば、構造的な問題に発展すると言えるかもしれません。試されているのは市場ではなく、皆さんの英知なのではないでしょうか?
※上記リスク、リターンの数字は事例としてのみ利用したものです。将来を予測するものではありません。

市場の変化に合わせて、運用計画を見直していかなければいけないのね。
