資産運用ABC

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リターン(投資収益率)

2007年10月1日

プロ野球の世界で楽天の野村監督や、最近、退任を発表したヤクルトの古田監督は、いろいろなデータを収集し、駆使して素晴らしい成績を上げたと言われています。だれしも過去の記録から類推して作戦を立てますが、いろいろな記録をいかに計量化し処理するかが大きな違いを生むのではないでしょうか?

今までもこのコラムで述べたように、投資運用の世界では、市場は気紛れで、常に同じ動きをしませんから、過去の動きを将来に引き当てることは危険を伴います。大事なことはいろいろなデータを、同じベースで考えることが出来るよう整理することにあります。それには言葉の意味を正しく定義しなければなりません。「なあなあ」の腹芸の世界で生きてきた日本人は欧米人に比べて物事をあいまいにとらえがちです。しかし投資に関しては数字という極めて明白な事実に基づいて論じられますから、あいまいな数字(データ)の処理は認められません。

長期投資を前提とした資産形成を行うにはリスク分散を図るため、いくつかの異なった金融資産(金融商品)に投資をされるでしょう。すなわち、皆さんのポートフォリオにはいくつかの異なった金融資産が含まれますが、ポートフォリオの運用成果は一つの数字で把握されなければなりません。それが「リターン」(投資収益率)です。一見極めて明快なようですが、実は大変に難しい問題を含んでいます。皆さんのポートフォリオには恐らく株式と債券が含まれているでしょう。また不測の事態に備えて短期の金融商品(CDやMMFや銀行の定期預金)もいくばくかはお持ちでしょう。あなたのポートフォリオの状況を把握するには、これら異なった金融商品を同じベースで比較し現状を把握しなければならないのです。

株式のリターンは「いくらの投資が、ある期間のうちに、いくらになりました」と比較的容易にとらえられるかもしれません。ところが債券については通常「利回り」と言う概念で受取利息をベースにした概念でとらえます。従って株式と債券の運用成果を同じベースでとらえることは「リターン」と「利回り」と言う異なった内容のデータを比較しても余り意味がありません。以前に債券と金利の関係でお話したように、債券の場合、利回りは高くなっても債券価格は下がりますから、株式のリターンと債券の利回りは同じ次元で比較できません。これを可能にするには、債券についても金利変動による元本リスクを勘案した総合投資収益率を計算する必要があります。最近ではいくつかの金融機関やリサーチ機関が債券の投資収益率指数を公表していますからご参照下さい。

株式のリターンを比較する場合もことは必ずしも簡単ではありません。Aさんは2年前に株式に100万円を投資して時価は150万円になりました。一方、Bさんは1年半前に200万円を同じく株式に投資して280万円になりました。さてどちらの方が高いリターンを上げたのでしょうか? 答えを求めるには両者のリターンを年率換算する必要があります。ここでは計算の過程は省略しますが、Aさんの年率リターンは22.5%、Bさんの年率リターンは25.2%となり、Bさんの運用成果はリターンでみますと若干高くなります。皆さんがご自分の運用成果を時価総額だけで判断すると間違いを犯します。正しくは年率という概念を含めて考えなければなりません。さらにBさんの場合でも確かに年率25.2%と高いリターンとなりましたが、同じ期間にその株式のベンチマークとなるインデックス(例えば東証株価指数)が30%上昇していれば、それとの比較で、25.2%は低いリターンということになります。

以上述べたように「リターン」という極めて簡単な概念も正しく理解することは必ずしも容易ではありません。しかし皆さんが投資運用について少しでもレベルアップするには以上のようなことも正しく理解することがとても大切になります。

広い視野から、「リターン」の概念を正しく理解しよう!

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