2007年8月10日
近年の宇宙工学の進歩は、まさに人類の想像を絶するものでしょう。まずは計画の段階で人工衛星や宇宙船の素材や形状が十分に吟味されて、「計画」(Plan)の内容が決定される。これに基づいて準備が進められ、人工衛星や宇宙船が発射される=「執行」(Do)。その後、人工衛星や宇宙船の飛行状況を見守り、軌道の微調整等の運行管理が欠かせません。さらには無事に帰還した本体の点検も、今後の宇宙計画にとっては最重要項目の一つとなります。すなわち、計画とその執行は「管理」(See)があって初めて完結すると言えましょう。
皆さんの投資運用についてもこの三つの要素は大変重要です。投資計画を作成するには皆さんの投資計画の周辺環境や条件を検討しなければなりません。その上でどのような金融商品にどのような割合で資金を配分するのか、資産配分計画を立案します。これが投資運用における「計画」(Plan) に当たります。このコラムでもこれに関することは何回か取り上げてきました。また投資運用に関する著書や新聞等でも一番頻繁に解説されています。
投資計画の「執行」は選んだ金融商品への投資・購入です。いかに低いコストでタイミング良く実行するかが重要になります。この「執行」についても、皆さんが比較的留意されている事項ではないでしょうか? もちろん、投信のコストや株式の委託売買手数料など、皆さんの意思決定によっては違いも生じてきます。しかしこれらは比較的明確に把握できることでもあり、皆さんが注意深く行動すれば十分に対応できます。
それに対して、投資運用の「管理」は意外に軽んじられていることが多く、また複雑な問題を抱えています。計画の段階ではいろいろと留意しながら策定したにもかからず、購入後は放りっぱなしで金融機関から送られてきた運用報告書等も十分に読まない、あるいは見たとしても評価損益だけを見て安心したり、あわてたりする人が多いのが実情でしょう。もちろんここで言う管理は毎日の市場の動きに一喜一憂することを言っているのではありません。皆さんが長期的な投資目標とご自身の人生設計に基づいて十分な検討のもとに計画を立てられた以上、日々の短期的な動きで振り回されることがあってはなりません。ここでお話しているのは皆さんの人生設計の前提条件や資本金融市場の構造が大きく変わり計画立案時の長期的な前提条件が変更を余儀なくされることを指します。
例えば、当初の計画ではお子さんは2名と予定していたのですが、コウノトリがもう一つの卵を運んできたとしましょう。大変に嬉しいことですが同時に日常の生活費も当初の予定よりかかります。よって投資に回す資金は抑えざるをえません。65歳で定年退職しその後は年金のみと想定していた人が友人の会社の経理を見ることになり、70歳まで予定外の収入があることになったりするかもしれません。その場合も最初の計画を見直します。
さらに個人的な状況の変化だけでなく、資本市場で予想外の構造的な変化が起こることもあります。趨勢的に地球の温暖化が従来の予想以上の速さで進み、環境対策の必要性が一段と高まったとしましょう。これもまた企業や政府の支出構造を変えると同時に従来考えられていた以上に新しい需要を創造するでしょう。同時に経済と資本市場の振幅も従来想定していた以上に高まります。いろいろな資産のリスクとリターンのパターンが崩れるかもしれません。マーケット全体が影響を受けます。
投資運用での「管理」とはこのような構造的な前提条件の変化が起こっていないかをチェックすることです。とても必要なことです。「管理」を意識するためには、年に一回程度、計画立案時にご自身の人生条件に基づいて行った質問表を再度記入してみて、その結果が立案時と大きく変わっていないかを調べることが大切です。例えば株式と債券の比率や外貨資産の組み入れ比率等が変わってきていないかどうかを見ることが大切です。
サイエンスフィクションではありませんが、自分の乗った宇宙船が、はるかなる宇宙空間をさまよって地球に戻れなくならないよう、計画の管理を怠らないようにお願いします。

計画立案時と大きく変わっていないかを調べることが大切なんだね!
