2007年5月10日
かねてから問題になっていたことですが、最近も米国で拳銃の乱射による大量の殺人事件が発生し、米国社会の拳銃に対する取り締まり体制が大きく取り上げられています。私自身も米国に住んで経験したことですが、今から約40年前、同じアパートに住んでいた夫婦が喧嘩になり、旦那がいきなり拳銃を発射したのには、日本から来た我々にとって大変な驚きでした。また、単一民族国家の日本から複合民族国家の米国へ参りますと、同じ国の中でも、そこに住む人々と意思の疎通を図ることがいかに難しいか、という、日本では経験しなかった問題にも直面したものです。これは単に言葉の問題ではなく、価値観の違いといった、さらに根の深い問題に行き着きます。
このように取り上げてみますと米国社会のいろいろな問題が浮かび上がってきます。それにもかかわらず、米国は、日本人にとって、建国以来ダイナミックな発展を遂げ、自由と民主主義の国として存在しているのも事実でしょう。米国の現在の社会経済体制が、米国人自身の手で作り上げられたものであり、未完成なものでも、常にお互い自由に考えながら前に向かおうとしているところに、だれしも魅力を感じるのではないでしょうか。
個人投資家が長期の資産形成を目指して資産配分を考える場合に、国内資産のみならず海外資産への投資を考える国際分散投資は幅広く実践されるようになって参りました。その背景の一つには国内金利が低く、より高い利回りを志向するニーズが熟年層を中心に増えてきたこともありましょう。また為替レートがひところのように一方的に円高に向かうことなく、為替リスクが抑えられた最近の為替レートの動きも海外資産への投資をサポートしているのでしょう。このような最近の投資環境が海外投資を後押ししていることは別にしても、国際分散投資がポートフォリオのリスク軽減につながることを考えますと、国際分散投資は長期的に見ても理にかなった運用と言えます。先進国経済を中心に経済の同質化が進み、国際分散投資のリスク軽減効果が少なくなっている面もありますが、中国やインド、ロシアといった新興国の経済成長が目覚しく、従来の世界経済の構造を変えつつあります。これは投資運用の面では新たなリターンの機会を投資家に提供するだけではなく、分散投資によるポートフォリオ全体のリスクを低減する効果をもたらします。もちろん、投資家ごとのリスク許容度は置かれた状況によって異なりますから、十分な配慮が必要ですし、中長期的に見て為替変動リスクは常に存在しますから、最近の為替レートの動きだけで判断することは避けるべきです。
それより何よりも、投資家が国際投資に当たって考えるべきポイントは、冒頭にお話したように、「国際投資とは異文化への投資である」という点ではないでしょうか。国内株への投資をするとき、皆さんはその銘柄について十分に調べて投資をされるはずです。国際分散投資では個別銘柄の分析は難しいので、その国のインデックスへの投資や、専門家が運用する投信に投資されることも多いと思います。これは一つの賢明な選択肢でしょう。しかしこの場合でも異文化への投資であることには変わりはありません。投資する国の経済だけでなく社会や文化についても最低限の知識を身につけた上で、投資をすることを忘れないで下さい。これは個別銘柄へ投資する際に、単に財務データだけでなく経営者の資質や背景を知ることが重要なことと相通じるものでしょう。米国株ないしは米国株ファンドへ投資するということは、もちろん、その銘柄やファンドがそれなりの投資価値を持ち、また、ポートフォリオに分散投資の効果をもたらすことを期待してのことです。が、それだけでなく、中長期的トレンドとして、米国経済が絶え間なく前進しているからこそ、組み入れる妥当性がある、ということも忘れないで下さい。そのような準備をすれば、貴方は世界経済のダイナミズムの恩恵を享受し、リスクをコントロールした、より高い投資成果を上げられることでしょう。

投資する国の経済だけではなく社会や文化も知っておこう!
