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金利の上昇と資産運用

2006年10月30日

日銀のゼロ金利政策解除に伴い、歴史的な低水準にあった銀行預金金利が上昇に転じ、ほっとしている人も多いと思います。確かに、銀行の定期預金に1,000万円を預けた場合、金利0.1%では受取利息が年間1万円(税込み)に過ぎなかったものが、1%になれば10万円になり、とても明るいニュースのように思われます。

このように金利が上がるのは景気が回復し、お金に対する需要が増えるからにほかなりません。景気が良くなれば企業の業績も改善し、賃金労働者の所得も増えるとなれば、歓迎すべきことです。しかし、金利上昇は、本当にそんなに良いことばかりでしょうか?

現実の経済の仕組みはそれほど簡単ではありません。まず、最近の消費者物価指数の動きは、水準は低いですが、前年同期比あるいは前月比のトレンドでみても上昇傾向にあります。物価の上昇率を上回る所得の上昇や企業収益の改善があれば、物価の上昇(インフレ)も問題ではありません。つまり、物価の上昇によるコストの上昇が生産性の向上によって吸収されていれば良いのですが、このメカニズムが崩れるとインフレが経済を圧迫するようになり、お金の実質的な購買力が下落します。上の例で言えば、1000万円の受け取り利息が10万円なったとしても、上昇するインフレによって目減りが生じます。預貯金のみに頼って生活している人たちにとっては、予定していた生活水準を維持することが難しくなります。まさに預貯金者にとってインフレは最大の敵と言えましょう。名目上の受け取り利息の増加を喜んでばかりはいられません。

また、金利の上昇は債券の価格の下落となります。今、とても人気の高い毎月分配型の債券ファンドも元本の目減りするリスクが高くなります。特に長期債は金利の変動による債券価格の振れも大きくなりますので、元本リスクを考えた上で購入すべき時期だと思います。

最近では、金利の上昇やインフレ率の上昇とともに分配金が増えたり元本が増える、個人向け変動利付き国債や物価連動債ファンドが注目されています。金利上昇を見込んだ理にかなった選択と言えましょう。

さらに、金利の上昇が企業の支払利息の増加を招く場合は、株式市場にとってマイナスの影響を与えることも考えておく必要があります。景気の上昇に伴い、本来は企業収益の増額がもたらされ、株価は上昇するはずです。実際、2005年の後半から2006年の前半にかけて、企業収益の改善を見越した株式市場は、著しい上昇傾向をたどりました。しかし急激な金利の上昇は、財政基盤の弱体な企業の金利負担増をもたらし、株価の下落を呼ぶことも考えておかねばなりません。

金利の上昇が、果たして個人投資家にとってプラスか否かは、各人の金融資産の所有状況をにらみながら、十分に検討していかなくてはなりません。投資の果実は分配金の大きさだけではなく、元本の増減も加えて判断するべき問題なのです。

金利の上昇って良いことばかりでもないんだね

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