はじめまして、まな爺(じい)です。
アメリカの大手金融機関で35年あまり投資運用の仕事をして参りました。現在は投資家の立場に立った「ご意見番」として、運用業界にさまざまな提言をしています。
これからしばらくまな坊、まな子と一緒に投資運用について考えていきたいと思います。
ただし、教科書のような形式ではなく、肩の凝らないエッセイ風の文章を通して「投資運用て、こんなことかな。」と実感していただければ幸いです。
私は、最近、江戸時代中期から末期にかけての、武家と庶民の喜びや悲しみを描いた時代小説を楽しんでおります。徳川幕府による封建体制が成熟と同時にほころびを見せはじめ、かわって両替商や札差といった豪商が実権を握りつつある時代です。小説に登場する人物は様々ですが、時代の変化の合間で翻弄される庶民の姿に、現在の日本の姿が映し出されているように思われます。
バブル崩壊によって痛手をこうむった日本経済、そして日本の社会そのものが、本当に新しい仕組みと体制を見つけ出すことができるのか?その答は私たちが見つけなければなりません。年金をはじめとする福祉の問題だけでなく、日本人の「心」が問われる教育の問題等、課題は山積みです。次の時代に向けて答を探し求める今の日本は、江戸時代中期以降の日本と重なって見えます。
時代小説に描かれた庶民のストーリーの中で何人かの女性主人公が登場します。平岩弓枝の「御宿かわせみ」のるい、藤沢周平の「蝉しぐれ」のお福、最近のヒット作の佐伯泰英の「居眠り磐音江戸双紙」のおこん等はいずれもこの時代の庶民生活の象徴として描かれています。彼女たちは、一見弱いようで、実は、政治権力者である武士、あるいは経済的実力を握っていた豪商よりも強い何かを持ち、悲しみの中にも最終的には安らぎと優しさを持って生きているように思われます。大きく変わろうとしている日本経済社会の中で、従来は、政府や企業の中で埋没していた「個人」が、苦しみながらも実質的な主役として表舞台に踊り出つつある。今、私たちはそんな重要な岐路に立たされているのではないでしょうか?別の表現をすれば、従来日本の富を握っていた政府や企業が弱体化し、いや応なく個人が自分の力で自身の命運を決めていかなければならない時代になろうとしています。個人が主役になるのを支えるのが個人の資産形成です。1,500兆円もの金融資産が個人の家計に蓄えられています。この金融資産をどのように動かしていくか、日本経済の今後を決めていくのは皆さんです。
投資運用は仮に何らかの法則があるとしても社会科学の分野です。自然科学のように正解が1つしかない分野ではありません。株式市場、債券市場といった資本金融市場を動かしていくのは人間です。私にもただ1つの正解を皆さんにお答えすることはできません。できることは皆さんが投資運用を考えるときに覚えておいていただきたい、いくつかのヒントを提供することです。
このような観点から、肩の凝らない話題をご提供し、時代小説にあるような喜怒哀楽を実感しながら、豊かな生活を実現するための資産運用を、皆さんとともに学んでいきましょう。

まな爺、これからいろいろなお話を聞かせてね
