2007年7月10日
長年サラリーマン生活を送って定年退職を迎えると、ほっとする反面、精神的には一抹の寂しさを感じる方も多いのではないでしょうか。もちろん最近では、65歳で退職しても、まだまだ元気に第2の職場で頑張っておられる方や、ボランティア活動で社会貢献されている方も少なくありません。いろいろな趣味をお持ちになり、現役時代にできなかったことを実現されている方も多いことでしょう。このような生活を送られている方にとっては、退職後の寂しさより、充実した熟年生活の満足感が上回り、幸福感に浸っておられることでしょう。
一方、経済的には現役時代に比べれば、年金が主たる所得となり、かなりの収入減となります。ぜいたくをしなければ夫婦二人何とか生活を送れるケースもあるとはいえ、ゆとりのある生活を送るには足りない向きも多いのではないでしょうか。このような層に魅力的なのが毎月分配型投信でしょう。最近のような低金利時代では、銀行の定期預金でまとまった利息を上げるには、かなり多くの原資がないとできません。よって、利回りの高い毎月分配型投信に目が向かいます。利回りの高い海外の債券を中心とした資産配分で年率4%前後の利回りを出し、しかも毎月分配があれば魅力的です。仮に定年退職時に3,000万円の金融資産をお持ちの方が年率4%の利回りの毎月分配型投信を購入すれば税込みで毎月10万円の分配金を受け取れる計算になります。年金からの所得が毎月40万円〜50万円の方々にとってプラス10万円はゆとりある生活への大きな助けになることでしょう。
このように万々歳の毎月分配型投信ですが、問題はないのでしょうか?
はっきり言っていくつかの問題点があります。
第一は為替リスクです。高い利回りを確保するため高金利の海外の債券に投資しますから、当然為替リスクがあります。最近のように円が諸外国の主要通貨に対し円安に推移すれば、むしろ為替差益となりますが、一旦円高に振れますと為替差損を生み元本は減少します。皆さんが今までも経験されたように外為市場では一日で4〜5%の振れは日常茶飯事です。皆さんが資金を回収しようとなさる時に元本割れとなることも十分有り得ることを認識して投資をすることが肝要でしょう。
第二に投資国の金利が上昇しますと債券の価格は低下しますからやはり元本リスクが生じます。さらには将来のインフレリスクも考えておく必要があります。現在、日本のインフレ率はゼロに近く極めて低い水準ですが、将来的には1%を上回ることも考えておく必要があります。従って現在の10万円が10年後も10万円の価値(購買力)を有するとは考えてはいけません。この場合、分配金への影響は複利できいてきますから仮に年率1%のインフレといえども、その累積した影響は決して小さくはありません。もちろん最近ではこのような問題点を抑えるために、高配当の株式を組入れた投信も販売されています。株式が債券に較べてインフレへのヘッジ機能があることを考えますと、妥当な対応といえましょう。ただしこの場合、銘柄選定が配当利回りだけにとらわれますと、株式としては別のリスクを負うことになりますので注意する必要があります。このような観点から無理のない分配金を支払っているか十分に確認して投資しましょう。
なお、読者の中には、退職までにかなりの年月があり、将来の資産形成のために投資を始められようとしている方もいらっしゃることでしょう。そういった若い方々は、退職世代と異なり、相対的にリスクをとって、より高いリターンを求められた方がよいでしょう。分配金よりむしろ、自動的に再投資して複利の効果を得る方がよりふさわしいと考えます。
以上、毎月分配型投信の利点と問題点を列挙しましたが、要は皆さんの個々の置かれた立場、すなわち投資目的とリスク許容度を十分に考えて投資されることが大切だと思います。

毎月分配型投信にもリスクがあるのね!
